2014年8月11日月曜日

あすわかのパブコメをご紹介します☆~その1「施行令案」編

特定秘密保護法に関連して3つのパブコメが始まっています。
(詳しくは→http://www.asuno-jiyuu.com/2014/07/blog-post_25.html

あすわかでは、これからシリーズでパブコメを公開していきます☆
第1回の今日は、「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」についてのパブコメです。
ネット上でも提出できるように2000字以内におさめました。

みなさんも、あすわかのパブコメ等を参考にしてもらってかまいませんので、パブコメを出してみてはいかがですか?
もちろん、当会の「これでわかった!超訳特定秘密保護法」(岩波書店)もご参考に☆
パブコメの募集期間は8月24日までです。

施行令案についてのパブコメの提出先は↓こちら↓です☆
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060072401&Mode=0

゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚

第1 意見
「特定秘密の保護に関する法律施行令案」に反対します。

第2 意見の理由
1 はじめに
特定秘密保護法(以下、単に「法」といいます。)は、さまざまな点で問題を含み、国民の知る権利を侵害して民主主義を破壊する危険性の高い法律です。そのため、「明日の自由を守る若手弁護士の会」は、特定秘密保護法そのものに反対してきました。
今回、特定秘密保護法施行令案(以下「施行令案」)が出されました。しかし、施行令案は、特定秘密保護法の問題点をカバーするものとはまったくなっておらず、同法による知る権利の侵害、民主主義に対する危険性は全く変わっていません。
したがって、当会は、施行令案に反対します。

2 特定秘密の指定
(1)指定権者
法は、数多くの行政機関の長(法2条)が特定秘密を指定できるようにしましたが、施行令案3条で、そのうちかなりの数の行政機関の長が特定秘密を指定できないこととしました。
しかし、施行令は、内閣の決定でいつでも変更できるものですので、いつでも「この大臣も特定秘密を指定できるようにしよう」と変更することができます。
特定秘密を指定できる大臣が増えれば増えるほど、国民の知る権利などに対する影響が大きいのですから、このように内閣が好き勝手できる規定にすることは問題です。

(2)指定される秘密
法は、特定秘密として指定することができる秘密がどのようなものであるかについて、あいまい不明確な要件しか定めていませんが(法3条及び別表)、施行令案によってもその内容は何ら限定されていません。
このままでは例えば、行政機関の長が、当該秘密が国民に明らかになった場合には国民の反対の声が大きくなるだろうことをもって「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがある」(法3条)と判断して秘密指定することも可能ですし、違法な秘密を特定秘密とすることも可能です。
このような秘密保護法制は、民主主義と相いれるものではありません。

(3)小括
以上のとおり、結局、内閣が好きなときに好きなように特定秘密を指定できる、というこの特定秘密保護法の危険性は、何も解消されていません。

3 特定秘密の解除
(1)解除権者
法4条7項及び施行令案11条によれば、特定秘密の指定を解除する権限を持つのは、秘密指定した行政機関の長のみです。これでは、行政機関が自分の都合のよいように判断して特定秘密の指定をしつづけることを防止することはできず、問題です。

(2)解除されたことの通知
施行令案は、特定秘密が解除されたときに解除したことを知らせる場合があるとしていますが(11条1項2号)、他の機関に秘密を提供した場合などのごく例外的な場合に限られています。
仕事で特定秘密を知った人は、退職した後でも「漏えい罪」等で罪に問われる危険を負うので(法23条1項後段)、解除されたかどうかもわからず一生「漏えいしたら逮捕される」と思いながら生活しなければならないことになります。
秘密が解除されたという事実を公表するような仕組みもありません

4 特定秘密の保護措置
施行令案14条(12条1号、3号、5号~12号)は、民間企業である適合事業者に対し、特定秘密を取り扱う場所やパソコン機器類の区分、人事体制の区分等を義務付けています。適合事業者は、これらの体制が整わなければ国と契約をすることができないことになるわけですから、適合事業者に対し重い負担を課すこととなります。場合によっては、国と特定秘密に関わる契約をすることができる企業が限定され、事実上の独占状態を招く可能性もあります。

5 適性評価
施行令案19条は、国家公安委員会委員、原子力規制委員会の委員長及び委員等につき、適性評価の対象外としています。当会は、重大なプライバシー侵害の危険性を有する適性評価制度につき賛成するものではありませんが、仮に同制度を設けるとしても、これから国と契約しようとする民間企業の従業員にまで適性評価を受けることを事実上強制しておきながら上記の委員等を適性評価の対象から除外することは、バランスを欠いています。原子力規制委員会等には内閣が配置したい人物を自由に配置することができる一方で、国家公務員や民間企業の従業員のプライバシーにかかわる情報を適性評価の名のもとに自由に収集した上で、不適格者として業務から排除することもできることとなってしまいます。
結局、内閣をはじめとする行政機関にはフリーハンドを与え、国民を監視して縛り付け、都合が悪ければ排除するというこの法律の問題点は改善されていないどころか、施行令案によって悪化させているとすら言えます。
また、施行令案20条は、運用基準を定めて適性評価をすることとしていますが、当該運用基準は、これに対する意見で別に述べるとおり不適切な内容です。

6 結論
以上のとおりですから、当会は、施行令案に反対します。

                                   以上