2020年6月22日月曜日

自民党の憲法改正特設サイト「教えて!もやウィン」がひどい 3



 大・大・大問題すぎる、自民党が「#憲法改正 についてわかりやすく
まとめた特設サイト」。憲法のなりたち、と題して、いきなり聖徳太子
の十七条憲法を挙げている点については一つ前に書きましたが、まだまだ
…まだまだ続きます。


● 教えて!もやウィン 憲法改正ってなあに?
https://www.jimin.jp/kenpou/manga/second/




<第2話 憲法とは>
 「その後はそれぞれの時代で為政者や
  幕府や藩が各国の法律やルールで国を治めた」

 「明治時代になると大日本帝国憲法ができ
 国民の国政への参加の道が開かれるなど、立憲
 国家としての第一歩を踏み出した」


 「終戦後に日本国憲法ができて 国民主権、基本
 的人権の尊重、平和主義をかかげた憲法ができた
 んだ」


* * * * * *


 敗戦で大日本国帝国憲法がなくなり、日本国憲法が作られた過程が、
単なるバージョンアップのような描かれ方ですね。。。

 「立憲国家としての第一歩」といっても、どんだけ不十分なものだった
か、それを見ないふりすることは、立憲主義の国家の与党として許されな
いことだと思うのですが。

 帝国議会は立法機関ではなく「協賛」する機会でしかありませんでしたね。
 しかも、衆議院とペアになっていたのは、「貴族院」でしたね。
 参政権といっても、最初は「たくさん納税している男子」にしか許されず、
最終的にすべての男子がゲットしても、女子には与えられなかった。
 表現の自由ふくむ基本的人権なんて、ありませんでしたね。私たちは国民
ではなく「臣民」でしかなく、権利は天皇からの「ありがたい頂き物」
でした(しかも限定的)。

 そして最大の問題、「主権」。
 そもそも大日本帝国憲法は、神聖不可侵な「天皇」を国の主権者として
定めました。
 
 この大日本帝国憲法を、「ちょこっとバージョンアップしたのが日本国
憲法」と説明するのは、不可能です。
 憲法の研究者も、これを通常の憲法改正のレベルで説明するのは不可能
だと結論づけています。
 大日本帝国憲法から日本国憲法へ、の過程は、単なる憲法改正ではなく、
バージョンアップどころの話ではない、「法的な革命」が起きた、と理解
する他ない大転換なのです。
 だって、日本国憲法は、天皇ではなく国民主権で、人が「生まれながら
にして自由・平等」なのですから。

 要は、自民党は、神聖視された主権者・天皇が臣民を支配する大日本国
帝国憲法があくまでも今の日本国憲法の土台になっていて、立憲主義・
民主主義・国民主権など近代以降の国家観を共有している「価値あるもの」
として見ていて、国民にもそう思ってほしい、というわけです。
 大日本帝国憲法への郷愁、憧憬。


 真に民主主義・立憲主義を重んじているなら、どうしたって大日本国
憲法の欠陥(負の側面)を見つめるはずですが、そうは思わない、大変
危険な世界観です。