2015年5月11日月曜日

自民党憲法マンガ ツッコミ入れずにはいられないネシリーズ④

数日前に(とりあえず最終回)って言ったものの
「もっと書いてくれ~」
という声なき声にお応えしまして、追加でツッコミます!
ただ、長いのです、ご容赦を。




今回は、P43からの「その3 国民投票ってどんなこと?」ってところです


① 憲法改正は厳格に、ってポイントがないよ~




まず、憲法改正は、普通の法律改正とは違うんだよ、ってことが書かれていないのです
憲法は、市民のために国家をしばるものです、だから、改正すると市民への影響が大きいので、じっくり考える必要があるのです




特に、憲法は、多数決で負けちゃう少数派のためにあると言われています
多数派は、憲法がなくたっていいのです、多数決で好きにできるから
でも、多数決で何でも決められたら、少数派の人たちが虐げられちゃいますよね?
だから、少数派を守るために、憲法があるのです


多数派(≒権力者)が好き勝手やろうとしても、少数派の人の人権を侵害しちゃいけないよ、そのために多数派(≒権力者)を縛りますってのが憲法の基本です、立憲主義ですね




だから、単純多数決じゃ変えられない、ってのが、むしろ普通なんです
マンガのP51にもあるとおり、法律よりも厳格ってのは、世界の多数派なのです




そこの理解がまず大切! でもマンガにはないんです~
当然だから書いていないのかな?
でも、前に憲法96条(改正要件の条文)を変えようとして失敗したような…




② 日本は厳格だから憲法が変わらなかったんじゃないよ~






ところで、マンガでは、
P46「ドイツも日本と同じ敗戦国じゃが憲法改正はきちんとやっとるぞ」
って話が出てきます


ここでは、よく聞かれる ドイツは60回も改正しているよ ってことについての分析をしましょう






ドイツでは、確かに何度も憲法改正をやっています


それは、1つには、ドイツ特有の歴史的事情があります
例えば、NATOに参加するために、占領中も含めて複数回の改正を行っています
独立後もNATO関連の改正をしています
ドイツは連邦国家なので連邦と州との間の権限に関する改正も行っています
さらに、東西ドイツの統一の関係でも改正が必要になり、EU加盟のためにも改正が必要になったんですよね




あと、ドイツの憲法は、細かいんです
例えば、動物保護条項があったり、日曜日祝日の規定があったり、郵便の民営化についても憲法に規定があります
日本だったら法律で書いているよ、ということも憲法にあったりするんですね。
そりゃ、改正が必要になりますよ。




単純に数だけ比較するってのは、ダメですね。






ところで、その何度も改正しているドイツでは、
憲法改正には、「連邦議会議員の3分の2、連邦参議院の3分の2の両方の賛成」が必要です


その点では、日本と一緒なんです!






って、ことは・・・


簡単なことですね!


実は、1度も改正されていない日本と、何度も改正されているドイツの違いは、
議会で賛成されるかどうか、
だけなのです。




国民投票は、議会で賛成されたあとの話なので、「国民投票があるから改正が難しい」ってことにはならんですね!


だから、
「衆参どちらかの議院で3分の1の国会議員が反対すれば憲法改正を止められちゃうわ」
という優子さんの心配は、無用なのです
だって、ドイツでは、その条件、何度もクリアしているんですもん。


「今の条件じゃ一度も改正できなかったわけだ」
という司郎さんの指摘
間違っているんです~


要するに、ドイツと同じ条件だったのに、それすらクリアできなかった、というだけなんです。


日本の憲法は、改正要件が厳格だから変わらなかったんじゃなく、議会で(ドイツと同じ数の)賛成を得られなかったから変わらなかったんです


このことは、
言い方を変えれば
議会が少数派の意見を聞いた結果、というふうに見ることだってできるのですね。




変わらないことが悪いことかどうか、それは、現状次第、改正の内容次第ですね。