2014年2月24日月曜日

法制局が解釈を決めてきた??? 渡辺代表の発言について


 報道によると、みんなの党の渡辺代表はBS11の番組で、

「憲法解釈を(内閣)法制局の役人が決めてきたという、
おぞましいことがあった。こういうおかしなことはないと、
いま安倍政権は言っている」


と発言したそうです。 … (-_-;)


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140220-00000195-jij-pol


 渡辺代表は、国会でそれなりのキャリアがおありになるはず
ですが、いろいろと誤解(?)があるようで、こういうミスリードな
発言は残念です。

 内閣法制局の憲法解釈は「役人」の作業だけでは決まるはず
がありません。また、法制局長が指名もされないのに、しかも
独自の解釈を国会で答弁することもありません。
 法制局は内閣(政権運営する政治家たち)の参謀なのですから。
法制局は内閣が国会に提出する法案について、各省庁が作成
した原案を審査(憲法や他の現行の法制との関係とか立法内容
の法的妥当性とか)しますが、国会に提出するためには、最終的
には内閣が当該法案を閣議決定しなければなりません。

 また、質問主意書に対する答弁を確定する際には、やはり
法制局が審査しますが、答弁はあくまでも閣議決定を経て
正式な答弁書として国会に提出されます。

 憲法解釈に関しては、この60年間、膨大な質問と答弁の
積み重ねがありますが、答弁を閣議決定してきたのは歴代自民党
政権ですし、渡辺代表の父親である渡辺美智雄氏はその重鎮で
したね!
 


 そもそも、新たな法案を作成し、新たな答弁をする際に一貫した
体系的な法解釈をすることは「法の支配」にとって極めて重要な
ことですが、こんな職人のような高度な能力と技術を(日々膨大な
政治案件に奔走する)政治家に望む事は不可能なので、だから
こそプロのリーガルアドバイザーとして法制局があるわけです。
そういうプロのスタッフが奔走しているからこそ、内閣は機能して
いるのです。

 それは別に憲法解釈に限ったことではありません。
アメリカだって大統領のリーガルチームがいますが,最終的な決定
権限はもちろん大統領にあるのであって,これを「官僚制度だ」など
と批判するのはお門違いです。
 国会にも議院法制局がありますが(内閣法制局とは実質的な権限
が違って、議員立法をする時のアドバイザーですが)、そんなに官僚
制度に頼るのがイヤなのであれば、議院法制局通さず法案を作成
してみてはどうでしょうか?
 しかも、渡辺代表は日本版NSC設置法に賛成し、秘密保護法に
ついては同法案に慎重だった江田氏らを排除して党の頭越しに
自民党と手を打ちました。NSCの事務局である国家安全保障局を
構成し、また秘密保護法の下で膨大な秘密指定をしていくのは防衛、
外務、警察官僚です。しかし、特に秘密保護法は、これらの権限に
対する歯止めが極めて不十分であり、権力の濫用が危惧されて
います。NSC設置法や秘密保護法には目を瞑り、内閣法制局の
しかも憲法解釈の部分だけを取り出して「おぞましい」という。
官僚主導打破を主張する渡辺代表のこの姿勢は、ダブルスタン
ダードに映ります。


 立憲主義をないがしろにする解釈改憲を「それだけは許しては
ならない!」という批判が日々高まりつつあります。元法制局長官
阪田雅裕氏や、元内閣官房副長官補の柳澤協二氏といった、いわ
ゆる「護憲派」ではなくむしろ自民党政権のブレーンであった方々で
さえ、先頭に立って異を唱えている状況です。いまこそ解釈改憲を
阻むために超党派の連携が不可欠であるという時に、渡辺代表の
この発言は、残念ながら、それらへの理解を欠くことを暴露する
ものとなっています。
 ぜひ、理解を正して、私たち国民のために、この国の民主主義と
立憲主義を守って欲しいものです!