2017年9月8日金曜日

やや日めくり憲法98条 国の最高法規


 いよいよ、憲法の最終盤、98条です。



 <日本国憲法 98条>
 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に
反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の
行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、
これを誠実に遵守することを必要とする。



要するに、日本に存在する「きまり」の中で、憲法が最強だということです。

そのため、憲法に違反する法律も命令も、無効です。
 「国権の最高機関」である国会(41条参照)で作った法律ですら、憲法には
かないません。

 たとえ多数決で採決されて成立した法律であっても、憲法に違反するなら無効。


 これは81条の回でもお話したとおりです!

 
 要するに、多数決が絶対なのではありません。
 いくら多数決で決めたことだ、民主主義のルールどおりに作ったものだ、と
言っても、なによりも大切なのは個人の尊重(13条)であり、人権保障なの
です。

 多数決(国会)で決めたことでも、個人の尊重(憲法)を侵害することは
許されません。
 立憲主義の範囲内での民主主義。それが、立憲民主主義なのです。


これは、まさしく、
国民の権利・自由を守るため、憲法で公権力(国会)の行使を縛る
という立憲主義の表れの最たるものといえます。

96条97条、99条も同じように、立憲主義の表れですね。


 当然ですが、天皇が誰よりも偉い明治憲法では、こんな条文はありません
でした!


 
2項は、自分が「日本も参加します!」と決めた条約と国際慣習法には
従います、ということを定めています。

ごく当たり前ですね。


で、憲法と条約では、どっちが強いかというと、憲法ということになります。
なぜなら、条約を締結するかどうかは、国会の判断で決められます(61条)。

そういう意味では、法律と一緒ですよね。だから、憲法が優先します。

 それに、もし条約が憲法より強ければ、条約を締結することで、主権者
たる国民の投票をせずに、憲法改正(96条)と同じことができちゃいます
もんね。
 それはおかしい。


 安保関連法の成立時に話題になった砂川事件判決でも、憲法が優先する
ことを前提としているとされています。


 ただし、2項は、あくまで自分で入るって決めた条約に限られます。

 なので、日本が参加していない条約については守る義務はありません。
   (まぁ、当たり前ですね)

 なので、この条約に入ってほしい、それが国民の権利・自由を守ることに
つながる!
 と思ったら、そのことをいまの国会と内閣に伝えなければなりません。

 
 みなさんは、
 日本に参加してほしい(とか一部だけじゃなく全部入ってほしい)条約
 としてどんな条約を思い浮かべますか?


 女性差別撤廃条約?
 障がい者の権利条約?
 ILO関連の条約?
 核兵器関係の条約?


 いずれにしても、ここでも、国民の不断の努力(12条)が関わって
きますね。

 主権者がきちんと「もっと女性の権利向上を!」「もっと労働者の権利保障を!」
と声を上げ、
 メディアに声を届け、メディアがそれをたくさん報道すれば
 国会議員も、「国民が女性の人権向上や労働者の権利保障を求めている」ことが
分かります。
 新聞やラジオに投書したり、地元選出の国会議員に要請したりすれば、
自然と社会全体で「女性の地位向上」「労働者の権利保障」は大きな関心事に
なるでしょう。
 国会議員も、無視できません。
 現実問題として、「女性の地位向上」「労働者の権利保障」を公約に掲げた
方が、選挙に勝てる、という風向きになってきます。
 そうすれば、国会はその国民の声を無視できなくなります。 
 政府も、無関心ではいられなくなります。
 そうやって、主権者の声に突き動かされるように、政府は「女性差別撤廃
条約」や「ILO条約」に、留保なく全面的な参加を検討するでしょう。
 
 私たち主権者国民の「不断の努力」なしには、民主主義も、国民主権も、
正常には回らないのです。