2017年9月1日金曜日

やや日めくり憲法91条 (財政状況の報告)


今日は,「財政」の最後の条文です。


<日本国憲法 91条>

 内閣は,国会及び国民に対し,定期に,少くとも
毎年一回,国の財政状況について報告しなければ
ならない。



「財政」とは,
国がこれら運営に必要なお金を,調達して,管理して,使うことをいいます。

 国を運営するには、教育,福祉,道路整備などの公共事業,年金や医療など
の社会保障,防衛などなど…たくさんお金がかかりますよね。


 誰からいくらくらいの税金をどのように徴収し,徴収したお金をどんなふう
に運用し、どんなことにいくらくらい使うのか…

 そういった「財政」に関することを決めるにあたっては,主権者である国民
代表者の国会がしっかり関与し,コントロールしなくてはいけませんよとい
うことが、これまでにみてきた条文(83条ないし87条)には書かれていま
した。

 財政民主主義ないし財政国会中心主義
 租税法律主義                ですね。



 しかし,


 これまで実際にどんな予算が組まれ,支出されてきたのか?

 国に今,どのくらいの財産があるのか?

 財産の運用は,どんなふうになっているのか?

 国の借金はどれくらいあるのか?

 今後の見込みはどうなるのか?


  そういった国の財政状況に関する情報が開示されなければ、 内閣が
提出する予算は適切なのか,無駄遣いはないのか,投入すべきところに
きちんと投入されているのか,ということを国民や国会がしっかりと
検討し,コントロールすることができません。


 そこで,憲法91条は,内閣に対し,国民が財政をコントロールするため
に必要不可欠な情報を,定期的に,少なくとも毎年1回は,国民や国会に
公表しなさい,と定めたわけです。


これを受けて財政法46条は,財政状況の具体的な報告方法について,


《財政法第46条》

 内閣は、予算が成立したときは、直ちに予算、前前年度の歳入歳出決算並び
に公債、借入金及び国有財産の現在高その他財政に関する一般の事項について、
印刷物、講演その他適当な方法で国民に報告しなければならない。
2  前項に規定するものの外、内閣は、少くとも毎四半期ごとに、予算使用の
状況、国庫の状況その他財政の状況について、国会及び国民に報告しなければ
ならない。


と定めました。


 この財政状況の報告は,財務省のホームページでみることができますので,
 是非チェックしてみてくださいね。

「財政民主主義」が実のあるものになるよう,
 私たちひとりひとりが不断の努力をしていきたいですね!