2017年9月21日木曜日

特に重要なテーマもない自己都合解散…えっ,許されるの?「丁寧な説明」はどこへ?


 臨時国会の冒頭で衆議院が解散されるそうですね。

 突然降ってわいたような話ですが、TVではずいぶんと
「解散権は首相の専権事項だから」
「衆議院議員は常に解散の可能性を頭に入れておかなければ」云々、
問題がないかのようなコメンテーターの発言が、けっこうありますね。


 でも、憲法にはどこにも「解散権は首相の専権事項」という言葉は
ありません。
 解散について触れている条文は、つねに「内閣は」です。首相が解散
したいと思えば、解散に反対する閣僚を罷免すれば可能だから、事実
上首相の思い通りに解散できる→首相の専権事項、という考えのよう
です。

 そして「解散できる時」について何の規定もないから、首相はいつ
なんどきでも、どんな理由でも衆議院を解散できる、という理屈が、
肩で風を切って歩いているのかな、と思います。


 解散権に制限がない憲法、というのは諸外国と比較してもかなり少数で、
例えばイギリスでは近年、首相の解散権に歯止めをかける法改正が
ありました。
 立法をつかさどる国会と、行政を司る内閣が、抑制均衡の関係に立ち
つつ、国会からの信任をバックに行政をしくのが議員内閣制です。
その関係を保たせるために、憲法は内閣に解散権を与えました。

 首相や政権の党利党略のため、あるいは「今ここで選挙すれば勝てる
だろうなと思ったから」という100%自己都合の解散など、憲法が「いいよ」
と許しているわけがない、と考えるのが常識…ですよね。

 唯一、「衆議院で内閣不信任案が可決された時に解散できる」という
69条の規定がありますから、それに匹敵するほどの事情が必要、と
考えるのが合理的でしょう。
 つまり、「解散して民意を問わないことには、民主的正当性のある政治
を責任持って行えない」というような事情が求められるはずです。

 (解散権についてもっと知りたい方は、憲法カフェへGO!)
 
 今回の衆議院解散、どこに大義があるのか、分かりません。
 解散してから「大義」を探しているような気配すらあります。
 森友学園に国有地をタダ同然で払い下げた問題、加計学園に異常な
ほど有利に認可をおろした問題、国民は説明を求めています。
 野党はずっと臨時国会の開催を求めてきましたが、これを無視し続けた
首相は、一刻も早く首相は説明する義務があります。

 それに、北朝鮮が核開発を止めない問題で、「対話は無駄骨」と言い
放った首相は、国連でも「とるべきは対話ではなく圧力だ」と好戦的な
演説をしました。どんどん、どんどん、北朝鮮を追い込んで、緊張関係を
高めたいという意欲が感じられます。
 なので、Jアラートを鳴らしてまで「今は有事だ」と言わんばかりに国民の
不安を高めておきながら、え、解散???という疑問もありますね。
今はめっちゃ緊急事態なのでしょう?選挙なんかやってていいの?

 昨年は、「大災害時などの緊急時に選挙で国会議員が国会を空けて
いたら対応できない!だから緊急事態条項が必要だ!」と言って改憲を
主導しようとしていたのは、ほかでもない自民党ではありませんか…。

(ウラを返せば、選挙をやる余裕があるのだから、Jアラート鳴らしてる
けど緊急事態じゃないんだなって安心しますよねw 原発も止めないし。)


 直感的に「あぁ、そんなに国会審議がイヤなのか(追及から逃げたいの
か)」と感じますが、理屈的に考えても、解散の必要性も合理性も、
見当たりません。
 そこにあるのは、「民進党に人気が無い今、選挙をやれば勝てる」
「野党共闘がうまく進む前に選挙しちゃえ」という、単なる自己都合。
 
 特定秘密保護法、
 解釈改憲、
 安保法制、
 共謀罪…
 この4年半の安倍政権の「立憲主義を壊す政治」の、続きは、もう
見たくないな、と思います。