2017年9月19日火曜日

首相が「対話は無駄骨」と言ってしまう国の、立憲主義の立て直し方


 安倍首相は米紙ニューヨーク・タイムズに寄稿し、核・ミサイル開発を
進める北朝鮮への対応について
 「国際社会は団結し、制裁を完全に履行しなければならない」
 「対話を呼び掛けても無駄骨に終わるに違いない。北朝鮮の目には
諸外国が屈したとさえ映りかねない」
 と、呼びかけたそうです。

● 「対話呼び掛けは無駄骨」=安倍首相、北朝鮮制裁で団結訴え(時事)
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2017091800272&g=prk 


 これが戦争放棄した国のリーダーの言葉かと思うと…悲しいですね。
悲しくて、がっかりします。
 まさか、真っ先に対話という選択肢を棄てるのが日本だとは。
 あの国は、立憲民主主義国家じゃなかったっけ?違ったっけ?と諸外国
から不審がられても仕方ありません。


 立憲主義とは、「国民が自分たちの自由や人権を守るために、権力を
憲法でしばる」というものですが、憲法を制定すればもう安心、というわけ
ではありません。

 現実には、憲法で保障されているはずの自由や人権を、いくらでも制約
してしまう法律が作られてしまったり、制度が運用されてしまったりします。

 そんな時、国民は「いつか立派な政治家が変えてくれるでしょう」とか、
「だれかヒーローが現れて権力と戦って世直しくれるでしょう」とか、ただ
待っているだけでは、なにも変わりません。変わるどころか、マジョリティの
都合よいだけの、きゅうくつで生きづらい社会が深化してしまうだけです。

 自分の自由は、自分で守る。権力が自分たちの憲法を無視するなら、
「そんな政治家は要らない!」と強くNOを突きつけて、政治の場から退場
してもらう。そういう意思表示をし続けなければなりません。
 立憲主義は、究極的には、国民が社会を「憲法を守らない政治家なんて
要らない」「憲法を無視する政治は許されない」という空気で満たし続ける
ことで、どうにか守り抜けるのです。

 …正直、めんどくさいですね。毎日政治のニュースとにらめっこなんて。
 でも、そういうめんどくさい営みでしか、自分たちの自由は守れない。
だから、やるしかない。民主主義という政治システムは、その「めんどくささ」
を引き受けたシステムだ、ともいえます。


 だから、こうやって首相が堂々と「対話なんて無駄骨だ」と、とっても好戦的
なことを言ってのけてしまうのは、ウラを返せば「憲法無視して、こう言っちゃ
ったところで、国民は許してくれるし、支持率は下がらないだろう」という見積
もりがあるからです。
 この報道を見て、脱力してるだけでは、立憲主義は壊れていくだけです。

 「憲法があるのに、まるで戦争を引き起こしたいかのような発言は許せま
せん」と新聞に投書してみませんか。
 あるいは「首相のこういうひどい言動を、もっと報道して下さい」とTV局に
メールしてみませんか。
 地元選出の与党議員に「首相がこんな憲法を無視したままでは、与党には
票は入れられません」とFAXしてみてもいいかもしれません。

 みなさん一人ひとりの、「自分なり」の声の上げ方があります。

 みんなが「自分なりの」声を上げれば、必ず政治は動きます。
 必ず、立憲主義も立て直せます!