2017年3月9日木曜日

やや日めくり憲法39条(二度づけ禁止)

今日は3月9日です。まずは日本国憲法39条を見てみましょう。


 日本国憲法 39条〔遡及処罰、二重処罰等の禁止〕

  何人も、実行の時に適法であった行為又は既に
無罪とされた行為については、刑事上の責任を問は
れない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の
責任を問はれない。


 わかりにくい条文ですね…(-_-;)。
 まず、実行時に適法であった行為については刑事上の責任を問えない、というのは
「事後法の禁止」というルールです。

 3月8日 あなたは●●をした。
 3月9日 「●●は禁止。●●をした人は懲役刑。」という●●禁止法が成立。
 3月10日 あなたが●●禁止法に基づいて逮捕。

 マジか💦 って思いますよね。
 
 やっているときには犯罪じゃなかったのに、後から法律を変えて、犯罪になり
ましたので処罰します、…なんてことになったらずるいですよね。
 仮に、こういうことができたら、権力や警察が「ジャマなあいつを捕まえたい」
と思った時、便利ですね。

 そう、39条は、時の権力が法律を変えて、恣意的にだれかを捕まえたりでき
ないように、立憲主義に基づいて、国民にこのような人権を保障しているのです。

 次に、後半の
 「既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の
犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」というのは、

 「二重の危険の禁止」と言われています。
 ある行為についていったん裁判を受けた以上、改めて刑事裁判にかけられる
ことはないというルールです。

 刑事裁判の被告人に立場に置かれると、裁判が終わるまで身体拘束を受ける
場合もあります。とても辛いことです。
 それなのに、有罪判決を受けて処罰を受けた場合はもちろん、無罪判決が確定
したのに、同じことについて何度でも被告人として裁判にかけられることが許さ
れるとしたらどうでしょう。

 国はやりたい放題ですね。
 国家にとって邪魔になると判断した人を同じ事件で何度でも起訴できちゃいます。
 そんな世の中では安心して暮らせませんよね。
 そのようなことができないよう憲法でこのルールが定められています。
 私たちの不断の努力で守らなければいけない大事な規定です。

 ところで、アメリカでは、無罪判決に対して検察官は上訴できません。
 しかし、日本では許されています。
 なので、いろいろな悲劇を引き起こします。

 名張毒ぶどう酒事件という事件で被告人だった奥西勝さんは、一審で無罪
判決を受けて釈放されましたが、検察官が控訴した結果、控訴審で逆転死刑
判決を受けてしまいました。
 以来46年にわたって収監され、社会に戻ることなく、2015年に病死
されました。

 無罪判決が出たということは、検察官が有罪の立証に失敗したということです。
それなのに、有罪にするチャンスがもう一度検察官に与えられる仕組みが正義に
かなっているのか、議論が必要かもしれません。