2019年10月10日木曜日

京都新聞社説「脅迫や抗議に、政治家が同調しているかのよう」


 「あいちトリエンナーレ2019」の再開に際し、文化庁の補助金
不交付や名古屋の河村市長の抗議への批判が、さまざまな新聞で展開
されています。

 表現の自由への脅威は、すなわちマスメディアへの脅威。
間髪入れずに批判を向けるメディアを、しっかり応援して支えなけれ
ばなりません。


● 社説:「不自由展」再開 表現活動、萎縮させるな (京都新聞)
 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/29670




<一部抜粋>

 大きな問題は、文化庁が同芸術祭への補助金を交付しない方針を
決めたことだ。展示内容を理由とせず、予想された「運営を脅かす
事態」を事前申告していなかったという手続き上の不備を挙げた。

 だが、脅迫の有無や、展示を巡る情報がネットで急拡散する状況
まで予想するのは無理がある。
 しかも、補助金採択は有識者の審議を経て決まったのに、不交付
は専門家の意見を聞かずに決めた。「事後検閲」を思わせる恣意
(しい)的な判断といわれても仕方ない。

 政治家の姿勢も疑問だ。「行政の立場を超えた展示」と中止を
求めた河村たかし名古屋市長は、再開後の会場前で抗議の座り込み
を行った。菅義偉官房長官は補助金交付に慎重な考えを示している。

 こうした言動は、企画展を中断に追い込んだ脅迫や抗議に、政治
家が同調しているかのようにみえる。表現活動が萎縮しないか。
<抜粋終わり>



 
 補助金の不交付は、事実上、脅迫やテロ予告をした人々への同調に
なりました。政府や市長が、それを分かっていないわけがない。
犯罪を許さないという毅然とした態度も批判もせずに企画展側を批判
し続ければ、社会には「結局は、脅迫したもん勝ちだ」という受け止
めが多かれ少なかれ残るでしょう。
 社会全体の委縮、モラルの低下、あらゆる害悪を招くだけの、恥ずべき言動です。