2017年8月5日土曜日

やや日めくり憲法84条 租税法律主義


<日本国憲法 84条>

  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更する
 には、法律又は法律の定める条件によることを必要
 とする。



 税金を課するには法律で決めなければならない、という条文です。
 このことを、「租税法律主義」といいます。

 課税には、国民を代表する国会の定める法律で条件を定める必要がある
ということは、つまり、課税には、納税者である国民の同意が必要、という
ことです。
 納税の義務(憲法30条)と租税法律主義とは表裏の関係にあるといえます。

 「租税」とは、国又は地方公共団体が、課税する権限に基づいて、経費に
充てるために強制的に徴収するお金のことをいいます。
 租税は、手数料とは異なり、支払いに対する直接的な利益(反対給付)が
ないことが特徴です。税金払ったからこれあげる、とか、なにか見返りはあり
ませんよね。

 「法律」による議決を要する事項は、
・課税要件(誰が税金を支払う義務を負うか、
・何に対して税がかかるか、
・どういう基準で税がかかるかなど)
・課税手続き
  です。



 「代表なければ課税なし」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
 イギリスで古くから説かれた言葉です。

 歴史的にみると、「租税法律主義」は、この言葉のとおり、国王が国民に
税を課そうとするのを、国民の側から「かんたんには税をかけさせるものか!」
とコントロールするものとして機能してきました。



 ちなみに、しばしば増税が問題になる消費税も、消費税法と地方税法という
二つの法律で税率が決まっています。
 消費税の増税は、税率の変更になりますので、国会の議決を経て、法律の
改正の手続きによって行われることになります。

 「租税法律主義」というルールがあるおかげで、政府が「お金が必要だから
増税しちゃおう」と閣議決定等で勝手に税率を上げることは禁止されて、
あくまでも国会で法律を変えることが必要、ということになります。
 国民の権利利益を損なうことがないよう守ってくれているということです。
これが、立憲主義(憲法に基づく政治)の素晴らしいところです。

 誰からどれだけ税金を徴収するのかを国会の法律で決めるとなると、どの
ような人を国会議員として選ぶかについて、無関心ではいられませんよね。