2017年6月2日金曜日

やや日めくり憲法62条(国勢調査権)


 日本国憲法 62条
  両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに
 関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を
 要求することができる。


 憲法62条は、国会の「国政調査権」について定めています。

 「国政調査権」とは、国会の権限で、証人の出頭や記録の提出を求めることが
できるものです。
 選挙で選ばれた国民の代表の集まりである国会が、立法をしっかり行うためには、
十分な調査や情報収集が不可欠なので、つよーい権限が与えられているのです。


 かつての大日本帝国憲法には、国政調査権に関する規定はありませんでした。
 当時は、憲法ではなく法律が議院の調査権を定めていましたが、審査のために
国民を議会に呼んだり、議員を派遣したりすることはできないとされ、資料の入手
は政府に頼るしかありませんでした。
 しかも、政府は機密資料の提出を拒否することができました…。
 これでは、政府は国会議員にすら教えなくていい、隠し事ができてしまいます。
(あれっ??特定秘密保護法みたいですねぇ…)
 当時の議院の調査権は、極めて弱いものだったのです。

 国政調査権の強力な権限は、内閣(行政)としっかり対峙できる力を立法に
持たせて三権分立を完成させよう、という戦前の反省によって生まれたものでも
あるのです。


 自民党改憲草案でも、62条は変更されていません。
 しかし、すでに62条は骨抜きにされてしまってるのではないでしょうか?

 最近話題の「証人喚問」は、この憲法62条が根拠です。
 ところが今、国会で起こっていることは…
 多くの国民の疑問に答えて、野党が某首相夫人とか某元事務次官とかの証人
喚問を要求しても、政府は与党と一体となって、国政調査権をちゃんと使わせて
くれません。

 そして、忘れもしない特定秘密保護法です。
 政府が「ヒミツ」といえば、国会議員すら容易には知ることができません。
 国政調査権を使いにくくしています。
 どうも、今の政府にとって、国政調査権はジャマみたいですね。
 立憲主義によって憲法にコントロールされたくないように、
国会によってコントロールされるのもイヤなようです。


 野党議員も選挙で選ばれた国民の代表です。
 与党の議員だって、政府が「仲間」だからとかばうだけではなく、国民の代表
として、国民の怒りや疑問を受け止めて、きちんと調査する義務があります。
 多数派の意向だけで国政調査権を使わせないということは、各議員の背後に
いる国民を無視するということなのですから。

 国会、特に与党が国政調査権を適切に行使しているか、ちゃんと政府を監督
できているか、国民の皆さんがしっかりとチェックする、「不断の努力」が
必要です。