2014年3月21日金曜日

「VERY」憲法座談会記事への権力介入の件






 何度もお伝えしているとおり、人気女性ファッション誌
『VERY』3月号では座談会「お母さんこそ、改憲の前に知憲!
 今、改憲が実現したら、将来、戦地に行くのは誰?」の記事が
大反響を呼び、新聞でも取り上げられました。
  当会会員の太田啓子弁護士が企画から携わり、座談会にも
参加しています。








 育児に忙しいママ達に少しでも憲法に関心を寄せるきっかけが
作れたら、という編集部さんと太田弁護士、そして私達あすわか
の願いがいくぶんか叶い、当会にもたくさんのご好評の声が届き、
嬉しく思っていました。








 しかし、その裏では、こんなことが起こっていました。


 http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014032001002021.html




 http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20140320-1273118.html







 3月号の発売数日前に、内閣広報室が「VERY」編集部に
「秘密保護法を特集するんですか。うちも取材してくれませんか。
妻も読んでいるんですよ」と電話したというのです。








 あれ?
 当会から事前に内閣にお知らせしたことはありませんよ。
 書店から聞いたと言いますが、
 つまり、書店に情報網を持っていて、政府に批判的な記事が出るのを
事前に察知して、記事の内容に影響を与えようとしているということでしょうか。
 内閣広報室は、内閣が国民を監視していることを、自ら広報なさったのですね。








 さらに、この件の取材に対し、内閣広報室は「正確な情報を知って欲しい
と思った」と回答しているとのこと。








 …女性ファッション誌が憲法を語るなんて不相応だし、正確なことは
書けないだろうから正確な情報を教えてやろうとでも?VERY世代の
ママが、素朴な疑問をもって憲法を語ることが「すぐ間違う」「かたよる」
とでもいいたいのでしょうか。そのような不安を抱かせ、この企画を
間違っているとでも言いたいのでしょうか。








 これはもう「よけいなお世話」、どころの話ではありません。
 正確な情報を流すには内閣の話を聞かなければならないかのような
不安を抱かせ、「正確な情報」の名の下に記事の内容をコントロール
したいという思惑を、感じずにはいられません。
  事実上の、表現の事前規制です。







  いかなる権力の介入も受けずに、メディアが書きたいことを
書く、報道したいことを報道し、伝えたいことを伝える。
それは、国民一人ひとりがものを考え、思索し、議論し、新たに
発信するためには欠かせないものです。
 そうして様々な角度から議論することで、より優れた意見が
残っていくという考え方が『表現の自由市場』というものです。
民主主義国家の前提です。(決して大げさではなく、)尊厳ある
個人が2本足で社会に立つ前提です。




 ところが、政府が正しいと考える内容しか報道されなくなったら
どうなるでしょう。政府への疑問をそのまま書くことが許されない
社会になってしまいますね。




 だからこそ、言論(表現)の自由は徹底して保障されなければ
ならない。
 国家権力からの介入など、ぜっっっったいに許されないのです。








 特定秘密保護法は、内容もその成立過程も、現政権が国民や
メディアの言論の自由をいかに軽視しているかをよく表しています。
いえ、むしろ敵視していると言った方が正しいかもしれません。
今回の出来事は、そういった現政権の姿勢を、改めて見せつける
ものです。








 権力が、ある雑誌の編集部に対し、雑誌の発売日前に、雑誌の
内容が政府の考えとは違うことを暗に示し、政府の見解に近い
内容にするように促す。








 これは何を招くでしょうか。








 もちろん、メディアの萎縮です。








 先程も触れたとおり、内閣広報室の回答からは、発売日前から、
世の中に出回る出版物の内容を権力がチェックしていることが
分かります。そして電話は「何を書くつもりか、全部事前に分かって
るからな」という威嚇ともいえます。編集部が断固応じなかった
結末自体は大変勇気あることですが、しかし多かれ少なかれ、
この介入は、光文社含むメディア全体へ「この国の権力は、書き
たいように書かせてはくれないのか」「書きたいことを書いては
いけないのか」と揺さぶりをかけたことは間違いありません。








 残念ながら、現政権の、「メディアが書きたいように書ける社会
を変えたい」、という意図は明らかです。








 このような介入は、絶対に許せません。