菅首相が、日本学術会議の新会員候補のうち6名を任命拒否した
事件から、ずいぶん経ちます。任命拒否の理由を明らかにしないまま、
政府は日本学術会議を「改革する」と言いだしました。
日本学術会議をめぐる政府の『改革方針』は、学問の自由(23条)
をおびやかす危険をはらんでいること、ぜひ知ってください。
近畿弁護士会連合会が声明を出したので、ご紹介します。
ぜひ下記URLからアクセスして全文をお読みください💡
近畿弁護士会連合会
<日本学術会議法の改正動向について懸念を表明する
とともに憲法の価値を十分に踏まえた熟議を求める理事長声明>
http://www.kinbenren.jp/declare/2023/2023-02-14.pdf
要点だけピックアップするならば、
「政府は…日本学術会議が推薦した会員候補105名のうち6名を任命
せず、この任命を拒否したが、この6名の任命拒否は、日学会の人事権に
対して政府が何ら正当な理由を示すことなく介入したものであり、学問
共同体たる日学会の自律を侵す違憲・違法な行為であった。」
「日本学術会議の在り方についての方針」と題する文書「に現れている
日学法改正のかかる方向性は、憲法第23条の保障する学問共同体の自律
という価値に反するものであるから、日学法の改正動向に対して大きな
警鐘を鳴らさざるを得ない。」
「学問共同体の自律に基づき日学会自身が改革を進めているにもかか
わらず、その結果が出ていない状況下において、早々に日学法の改正を
進めようとするものである。このような政府の姿勢は、日学法改正の
必要性ないし理由があることを示す立法事実がないにもかかわらず、
あたかも立法事実があるかのような印象を国民に与えるものであり、
学問共同体の自律を著しく軽視したものと言わざるを得ない。」
「任命を拒否する『正当な理由』の存在を論証する責任が政府にある
にもかかわらず、任命拒否をした理由について一切触れていない。
そうすると、政府方針文書は、任命拒否を行った政府が、『正当な理由』
の説明責任を逃れるために、日学会の内部の問題として議論をすり替え
ようとしているものと評価せざるをえない。」
「日学法の改正動向については、憲法第23条の価値を毀損ないしは
著しく軽視するものであることのみならず、論点をすり替えて事実に
基づく議論を放棄した政府の姿勢は、立憲主義や民主主義の大前提を
揺るがすものとして重大な懸念があると言わざるを得ない。」