2017年11月24日金曜日

「国が4人以上出産した女性を表彰」案!?…2017年の話です。


 21日の報道はによると、自民党の山東昭子議員が「子供を4人以上
産んだ女性を厚生労働省で表彰することを検討してはどうか」と発言
したとのこと。


●自民の山東氏「4人以上産んだ女性、厚労省で表彰を」(朝日)
 
http://www.asahi.com/articles/ASKCP5RL8KCPUTFK017.html

 
 発言の真意について、山東議員は「女性活躍社会で仕事をしている人が

評価されるようになって、逆に主婦が評価されていないという声もあるの
で、どうだろうかと発言した」と説明していますが、「仕事をしているか
どうか」と「子どもをたくさん産んだかどうか」は全く別の話なので、
ちょっと意味が分かりませんね。

 まぁ、とにかく与党の、参議院副議長まで経験のある議員が、子どもを
沢山産んだ女性は国家による表彰が適切だと考えている、ということは
確かです。


 国家が「出産する女性」を評価することで、特定の「あるべき女性像」
を国民に押しつける。
 「女性はできるだけたくさん出産すべし。」
 「出産しない女性は務めを果たしていない。」
 …つまり、そういうことです。
 過去にも「女性は生む機械」発言などさんざんありましたが、政権与党
の中に、いまだに女性の「生」と「性」をコントロールしたいという欲が
うずまいていることがよく分かります。


 産む・産まないは「その人(そのカップル)の自由」です。
 そんな当たり前すぎるほど当たり前の自己決定を、国家が「表彰」し
「評価」し「権威づけ」して「日本国民はこういう生き方を見習うべし」と
する、そのおぞましさ。

 個々人の尊厳や自由のために国家がある、という近代の社会契約(論)の
考え方とは、まるで逆転の発想です。
 そしてまた、国民一人ひとりの「尊厳ある自分らしい生き方」をなにより
も大事に思う憲法とは真っ向から矛盾する考え方です。


 ところで、山東議員が、もし「4人以上産んだ女性を厚労省で表彰」すれ
ば少子化対策につながると考えたのなら、それもまた大いに問題があります。
 国家からの権威づけが出産への何よりのモチベーションになる、という
発想には「産みたくても産めない社会」を変えようという意識のかけらも
ないからです。


 女性は、「国家が評価してくれないから産まない」のではありません。
 産んでも経済的に困窮しない社会が欲しいのです。
 産休・育休が権利として認められる雇用が欲しいのです。
 預けたいときに預けられる保育園が欲しいのです。


 ある問題を解決しようと思えば、なぜその問題が発生しているのか真剣に
見つめて考えるはずなのですが、女子が産みたくても産めない社会がまったく
是正されずにこんな発言だけが出てくるところを見ると、実は少子化のままで
いいと考えているか、あるいはなんとか「カツカツな生活のままでたくさん
産む主婦だけを増やしたいという」グロテスクな欲を抑えられないのか…
どちらか、でしょうか。