2013年5月2日木曜日

押しつけ憲法!?

 日本国憲法は占領軍による「押しつけ憲法」だ、
という主張は、改憲を唱える人達の強い論拠となって
いますし、自民党の自主憲法制定という党是の根底にも、
押しつけ憲法論が強く流れています。
 しかし、この主張は論拠としては非常にもろいもので、
言ってみれば「突っ込みどころ満載」な考えです (-_-;)


 大きく分けて2つのレベルでの反論がありえます。
 ① そもそも押しつけか否かなど改憲の是非の議論に
 とって意味がない。
 ② 押しつけではない。


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 ①について考えてみましょう。
 立憲主義・民主主義・天賦人権・国民主権・平和主義、
これら近代民主主義国家の原則は、敗戦までの大日本帝国
憲法下にはありませんでした。それまでの「天皇を頂点と
した軍部独裁の政治」に終止符を打ち、日本が民主国家と
して生まれ変わるためには、憲法改正は必至の政策でした。
 しかし幣原内閣の下に設置された憲法問題調査委員会が
作った試案は、残念ながら明治憲法の焼き直しのようなもの
で、天皇主権は温存されたままで、民主的とは言えない内容
でした。そこで、GHQが案を提示しつつ、政府との間で草案
作成を進め、帝国議会に上程し、審議の末、大日本帝国憲法の
憲法改正手続にのっとり、日本国憲法が制定されたのです。

 一橋大学の阪口教授いわく、「意に沿わない結婚だったから
離婚しよう、という夫婦はいない。離婚したいのは、結局相手
のことが好きじゃないから離婚したいのであって、たとえ意に
沿わない結婚だったとしても相手のことを好きになったので
あれば離婚はしない」。
 押しつけだから改正せねばならない、というのは、憲法の
中身の議論を避けた、理屈になっていない主張といえます。
 押しつけ憲法論を主張する方々は、結局は、立憲主義や民主
主義、天賦人権等々の憲法の中身が嫌いなのですね。

 
 ②はどうでしょうか。
 議論の土俵を、「押しつけかどうか」というレベルに移した
場合、押しつけであるといえるのでしょうか?
 上記の通り、日本国憲法はGHQが突然「今日からこの憲法が
君たちの憲法だ」と言って発付したものではなく、帝国議会で
の審議と議決を経て制定されたものです。
 例えば一例を挙げると、
・GHQは当初一院制を想定していましたが、日本政府が二院制を
主張して、草案には二院制が取り入れられました。
・帝国議会の審議の中では、第1条の「国民の総意に基づく」や
第9条2項の「前項の目的を達するため」という文言が挿入され
たりもました。
  押しつけ?ではありませんよね。

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 雑ぱくな説明になりましたが、このように、「押しつけ憲法論」
というものは非常にもろい主張です。
 このような主張を、いまだに自民党はじめ改憲論者が強力に
続けているのは、憲法の中身が好きでなく、とにもかくにも改正
したい、という執念ゆえなのでしょうか…