2018年3月14日水曜日

GHQの作った憲法??いやいや…帝国議会のドラマまめ知識☆


 情勢から目が離せません。
 議会制民主主義が土台から崩れていく光景を見ているような、果てしない
気持ちになりますが…しかし、すべては主権者が学び、力を高めるところから!
 …と思ったら、「知は力」という真理をかなぐり捨てるような発言が。
●「日本人の手で改憲を」 首相、自民議員に呼び掛け
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27790710W8A300C1000000/

 安倍首相は憲法改正について「自分からは具体的には何も言わないが、連合国
軍総司令部(GHQ)によって作られた今の憲法を、日本人の手で作る作業に
積極的に参加してほしい」と語ったとのこと…
 いまだに…“押しつけ憲法”観。
 1ミリもブレませんね。
 
 GHQが作った草案がそのまま強制的に日本国憲法となり、日本国民も帝国議会
も全く手出しできなかったかのようなストーリーを、なかば「信仰」のように思い
込んでおられるようです。
 どこから語ったらいいのか分かりませんが、少しでもこの「押しつけ憲法」論に
魅力を感じる方は、歴史的事実はそうだったのか、実際に学ばれてみることがなに
よりも大事だと思います。
 古関彰一先生の「日本国憲法の誕生(増補改訂版)」(岩波現代文庫)は、丹念
に制定過程の事実を追い求めた貴重な一冊です。
 帝国議会でのドラマ、ぜひ「まめ知識」の1つとして頭の片隅に置いておいて
ください(知り合いに披露してみては♪)
 例えば
 9条1項に「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、」
という一節を入れたのは帝国議会(衆議院)。
 なぜ戦争放棄するのか、日本国民の抱く理想をまず掲げる必要がある、という
趣旨で挿入されました(立派!)
 これで9条1項の主語を「日本国民」に変えた意義はとても大きいと思います。

 また、有名な話ですが9条2項に「前項の目的を達するため」といういわゆる
芦田修正があったのも衆議院です。これを足がかりに自衛のための再軍備を主張
する方は特に、「GHQが憲法を作った」とは語れないでしょう。
 義務教育(26条2項)の規定についても一言。
 帝国議会に提出された案では、義務教育は「児童に初等教育を受けさせる義務」
でしかありませんでした。それじゃ戦前と同じじゃないか、と教育の機会均等を
訴えた全国の教員たちの運動や教員出身の大島多蔵議員の熱意により、「子女に
普通教育を受けさせる義務」という文言に変わり、結果、中学校まで義務教育が
延長されました。

 生存権の条文に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を
有する。」の項目が入ったのも帝国議会でのことです。

 こんなのはごくごく一部の例です(字数の問題で割愛)。
 国民の圧倒的な支持で迎え入れられたことからも分かるとおり、日本人の手で
つかみ取った憲法です。