2016年12月7日水曜日

PKO派遣どころじゃない 南スーダンの惨状


 
 昨年成立してしまった安保法制は11個の法律の束で、
その中の1つがPKO協力法の改正でした。

 その「改正」により、PKO(国連平和維持活動)として派遣
された自衛隊が武器を使える範囲が大幅に広がりました。
これにより、「駆けつけ警護(国連職員やNGO関係者などが
襲撃を受けた場合に武器を持って救出に駆けつける)」や
「共同防護(自衛隊の宿営地を他国部隊と連携して守る)」が
可能になり、ついに11月15日、政府は南スーダンへの派遣
部隊に、新任務として付与したのです。


 駆けつけ警護自体が、憲法9条に違反するのはもちろん
なのですが、今回のPKO派遣は、そもそも許されない派遣です。


 PKOに参加する(自衛隊をPKO部隊として派遣する)場合には、
「PKO参加5原則」が満たされていなければならない、というルールが
あります。


<PKO参加5原則>

1 紛争当事者の間で停戦合意が成立していること

2 その国及び紛争当事者がPKO及びPKOへの日本の参加に
 同意していること。

3 そのPKO部隊が特定の紛争当事者に偏ることなく、中立的
 立場を厳守すること。

4 上記の原則のいずれかが満たされない状況が生じた場合には、
 日本の部隊は撤収することができること。

5 武器の使用は、要員の生命等の防護のための必要最小限のもの
 を基本。受入れ同意が安定的に維持されていることが確認されている
 場合、いわゆる安全確保業務及びいわゆる駆け付け警護の実施に
 当たり、自己保存型及び武器等防護を超える武器使用が可能。
 

 へー、これ全部クリアしてないとPKO参加できないのかー、という
わけなのですが
 今回、思いっきり、この原則が無視されているのです。

 
 南スーダンは、今、血みどろの内戦状態です。
 「大統領派」と「前副大統領派」というのが対立しまくり、以前停戦
(和平)合意はあったものの、形ばかりで戦闘が続き、11月1日に
公表された国連特別調査報告書は、「和平合意」は「崩壊」したと
断定しています。
 さらに、相次いで集落の焼き討ちや集団レイプが起き、国連の
調査チームが「民族浄化が進行している」と発表。
大統領派も前副大統領派も、こぞって子供たちを兵隊に徴用して
戦争に備えているという、かつてルワンダで起きた大量虐殺の再来
を警戒するレベルにまで達しています。


●南スーダンで「民族浄化」進行、国連の人権視察団が警告(AFP)
 http://www.afpbb.com/articles/-/3109937
 
●南スーダン「緊張と暴力、前例ないレベル」 国連調査団(朝日)
 http://www.asahi.com/articles/ASJD1129DJCZUHBI050.html


 およそ「停戦合意がなされた」状態ではなく、PKOが派遣できる
前提を欠いているのです。
 一般市民が血で血を洗う民族浄化の嵐の中に自衛隊を送り込んで
しまえば、いやおうなしに殺戮に巻き込まれます。


 国連は、PKO部隊に武器を持たせて住民保護のために戦わせる
ことで南スーダンの内戦を収めようという道を選んだわけですが、
日本が憲法を無視してそれに追従する必要はまったくありません。
武器を持たず、非暴力の見地からの日本独自の支援のあり方を
模索する、今までの平和国家としての歩みを進めればいいのでは
ないでしょうか?


 遠い遠い南スーダンの現状は、なかなか耳に入ってきません。
 しかし、自衛隊はすでに派遣されています。
 本来、憲法上許されるはずのない派遣によって、自衛隊員の命が
奪われたら、政府はどう責任をとるのでしょうか。
 「これ以上犠牲を出さないように、しっかり武器を持てるような憲法
改正を!」
 「このような暴力に決して屈せずPKOを遂行します!」とでも叫ぶ
のでしょうか。
 
 私たちにできることは、なんでしょう。
 せめて「内戦状態なんだって。こんなPKO派遣おかしくない?」という
世論を大きくできるように、ニュースをシェアしたり、新聞やTVに投稿
したり、することでしょうか。

 地道な努力がなければ、なんにも動かせません。

 日々、「不断の努力」ですね!