2023年5月10日水曜日

LGBT理解増進法案 自民党から“許される差別”の新概念を作りかねない修正案


 G7までに法案成立を目指す…という当初の目標はどこへやら。

 与野党で合意していたはずのLGBT理解増進法案を、大幅に後退

させる「修正案」を出そうとする自民党…。


● G7サミット前成立には「時間切れ寸前」

    LGBT理解増進法案、自民党内で修正案審議続く (TBS)

 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/474706?display=1



 先日も書きましたが、

「差別は許されない」→「不当な差別はあってはならない」という変更は、

「差別はすべて不当である」という常識を壊し、「不当でなく許される差別」

という新たな概念を作り出しかねません。そんな言葉の操作はやめるべきです。

 

 覚えておきたいのは、当初、野党はLGBTへの差別を禁止する法案を提案

していたのだけれど、それに反対する自民党「保守派」に“配慮”して、

差別禁止条項のないLGBT理解増進法案が与野党で合意された、という経緯

です。これだけでも大きな“譲歩”であり、LGBTQへの差別解消のためには

不十分なものです。それでもなお満足しない自民党「保守派」が、今度は

「差別は許されない」という文言を拒絶しているという現状に、唖然と

します。


 差別は、マイノリティの平穏な暮らしや心身の健康を奪い、暴力を産み、

時に自死にまで追いつめます。

 差別の解消は、憲法の人権保障をきちんと実現させる使命を負う国会議員

にとっては最優先事項のはずです。LGBTQ当事者が苦しむ現状を変えたく

ないかのような態度は、理解に苦しみます。

 

 最後に、岩屋元防衛大臣は「人権に関わる問題なので、できるだけ大多数

の国会のマジョリティ、賛成を得て決める。」とコメントしていますが、

この発想は間違っています。

 人権問題(差別解消)は、本来「多数派のお気持ち次第」であっては

ならない問題です。「できるだけ多くの賛成が必要、なんなら全会一致で」

などとハードルを上げる必要はまったくありません。迅速に、リーダー

シップを発揮して、保守派を説得し、党内をまとめるべきです。