G7までに法案成立を目指す…という当初の目標はどこへやら。
与野党で合意していたはずのLGBT理解増進法案を、大幅に後退
させる「修正案」を出そうとする自民党…。
● G7サミット前成立には「時間切れ寸前」
LGBT理解増進法案、自民党内で修正案審議続く (TBS)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/474706?display=1
先日も書きましたが、
「差別は許されない」→「不当な差別はあってはならない」という変更は、
「差別はすべて不当である」という常識を壊し、「不当でなく許される差別」
という新たな概念を作り出しかねません。そんな言葉の操作はやめるべきです。
覚えておきたいのは、当初、野党はLGBTへの差別を禁止する法案を提案
していたのだけれど、それに反対する自民党「保守派」に“配慮”して、
差別禁止条項のないLGBT理解増進法案が与野党で合意された、という経緯
です。これだけでも大きな“譲歩”であり、LGBTQへの差別解消のためには
不十分なものです。それでもなお満足しない自民党「保守派」が、今度は
「差別は許されない」という文言を拒絶しているという現状に、唖然と
します。
差別は、マイノリティの平穏な暮らしや心身の健康を奪い、暴力を産み、
時に自死にまで追いつめます。
差別の解消は、憲法の人権保障をきちんと実現させる使命を負う国会議員
にとっては最優先事項のはずです。LGBTQ当事者が苦しむ現状を変えたく
ないかのような態度は、理解に苦しみます。
最後に、岩屋元防衛大臣は「人権に関わる問題なので、できるだけ大多数
の国会のマジョリティ、賛成を得て決める。」とコメントしていますが、
この発想は間違っています。
人権問題(差別解消)は、本来「多数派のお気持ち次第」であっては
ならない問題です。「できるだけ多くの賛成が必要、なんなら全会一致で」
などとハードルを上げる必要はまったくありません。迅速に、リーダー
シップを発揮して、保守派を説得し、党内をまとめるべきです。