犯罪捜査で、取り調べを受けるとき、私たちには「黙秘する」と
いう選択肢があります。
黙秘する権利、すなわち黙秘権です。
「えい画やドラマで、警察が取り調べでつかまえた人にどなったり
なぐったりする場面がよくありますが、憲法はそんなこと決して
ゆるしません。自分に不利なことは話さずだまっててもいいし、
無理やり言わせたことを有ざいのしょうことすることはできません。」
(憲法かるた 裏面の条文解説より)
基本的人権として保障される黙秘権の行使を、害悪かのように悪し
ざまに報じる記事がありました。
● 凶悪犯弁護の戦術 真実よりも黙秘ありきの独善
大阪社会部長・牧野克也 (産経)
https://www.sankei.com/article/20221031-SNKRTTS6HNOWJEQ4QPTZSGWAC4/
<一部引用>
容疑者・被告が何も話したくなければ、弁護士は尊重する必要が
あろう。身に覚えがない、あるいは記憶が不確かな嫌疑で黙秘を
勧めるのも理にかなう。そんな黙秘権の意義を最大限踏まえても
なお残る違和感の正体は、真犯人のみが知る真実が弁護士の関与に
よって封印される不条理だ。
(中略)
平成16年に成立した犯罪被害者等基本法は被害者の権利利益保護
を打ち出している。弁護士の使命は基本的人権の擁護と社会正義の
実現(弁護士法1条)である。その人権擁護から被害者を除外して
いいのか。真実を封じ、犯罪者の更生にも役立たない黙秘に社会正義
はあるのか。
<引用終わり>
かけがえのない人権の行使を「真実の隠蔽」かのように発信する
ことは、市民に黙秘権の行使は良くないことという誤解を広めかね
ません。誰にでもえん罪で捕まるリスクがあり、他人事のように黙秘権
を不要なもの・ジャマなものと考えることはとても危険です。