2018年8月3日金曜日

知憲の夏! 憲法と出会えるエンタメ作品をご紹介!(^^)!①「万引き家族」



 バカンスのシーズンですね!
 すさまじい暑さですね…(*_*;) 屋外で夏を楽しむにはしんどいので、
涼しい屋内で映画・ドラマなどで気分転換はいかがでしょう?
 楽しむついでに憲法を体験できちゃうお得なエンタメ作品をご紹介
します☆彡
 ユルっと憲法的なテーマに思いを巡らせられる作品から、真正面から
憲法に向き合える作品まで、ランダムにいろいろ紹介していきますね!


 <映画「万引き家族」>
 先だって、カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を獲得した
是枝裕和監督の最新作。
 簡単に職を失い、食べ物や生活雑貨を「万引き」でしのぐ家族が描か
れています。
 これを観て「うそでしょ、こんな貧乏な家あるわけないでしょ」と
思う方がいらっしゃるかもしれません。
 でも弁護士にとっては、貧困はある意味当たり前です。貧困ゆえ犯罪
に手を染める大人や子ども、虐待で孤立する子ども…間違いなく、これは
日本の現実社会の一端を描いています。
 貧困は決して子どものせいではありませんし、大人だって労働者の人権
がしっかり保障されていれば、こんな簡単に職を失うこともないでしょう。
虐待する側の親にも、心理的なケアや生活支援が必要です(親子が社会と
アクセスできず孤立すると、容易に虐待が起こりうることは、育児経験者
ならだれでも感覚的に分かるはずです)。決して「自己責任」で片づけら
れる話ではないのです。
 憲法は25条で「健康で文化的な最低限度の生活」、つまり尊厳ある
人間らしい生活を国民に保障しています。現実の政治が憲法に追いつけて
いないことを、改めて思い起こさせます。


 また、「家族」ってなんだろう、と考える題材としてもおすすめです。
 家族は是枝作品の昔からのテーマですが、例えば「血縁」があれば
間違いなく家族なんだろうか、という問いを念頭に、ご覧いただくといい
かもしれません。
 血のつながりがなくても家族は作れる、と、ここに登場する「母親」
は、少なくとも途中までは信じています。愛情と血縁、それともお金…?
 こういう極端な例はともかく、親や親せきとの関係に悩むことってあり
ませんか?血がつながってるから縁を切るわけにはいかないけど、ぜんぜ
ん気が合わない(できれば付き合いたくない)、みたいな。
 他方で養子や里親などの縁で、強い愛情で結ばれて幸せな家族もまた、
あります。
 憲法24条は、家族それぞれに、幸せの形があることを宣言してくれて
います。家族にとって大事なものはなんなのか、それもまた、家族ごとに
違うでしょう。
 観る人の「家族」観が問われる作品です。