2015年12月29日火曜日

柳澤協二さんが講師×あすわか弁護士が生徒!憲法カフェ(上級編)のご報告☆


 今年も元気に駆け抜けまだまだエネルギーいっぱいな
あすわかの関西メンバー。
 たくさん発信しながらも、自らも常に学び続けなければ!
ということで、元内閣官房副長官補の柳澤協二さんをお招きして、
新大阪駅近くの薬膳料理のお店で、憲法カフェ(上級編)を開催
しました。
 すなわち、あすわかメンバーが「聞き手」です☆

 柳澤さんといえば、元防衛官僚で4代の総理大臣の参謀役を
務められ、イラク戦争時には官邸で自衛隊の派遣を統括された、
まさに防衛のエキスパート。新たな安保法制に対しては、ご自身
の経験に根ざした鋭い批判をしてこられました。
(参考:過去のブログ記事↓)
http://www.asuno-jiyuu.com/2013/10/blog-post_18.html


今回は、あすわか弁護士10人から防衛のプロである柳澤さんへ、
聞きたいこと何でも聞いちゃおう!というとんでもなく贅沢な企画でした。

 柳澤さんからのお話は、
「安保法制の成立と、国民が考えるべきこと」。

レジュメは記事の最後に貼り付けますね。
カフェで印象深かったやりとり(あすわか弁護士からの質問と
柳澤さんからの回答)を、ここで3つご紹介します。

Q(自衛隊員のリスク)
 第二次世界大戦後、自衛隊員が海外で一人も殺さず、

殺されてもいないというのは、結果論であり、従前の
法制下での後方支援であっても、死者が出る可能性は
十分あったのではないでしょうか。

A 従前の法制下での活動であっても、例えば今のイラクへ
派遣されていたら死人が出る可能性は高い。
ただ、従前は、最大限武器を使わない努力をしていた。
抑制的にやろうという政治の雰囲気があった。
しかし、今はそういう状態ではなくなっている。新しい法制下では、

より戦闘に近い場所で活動し、武器の使用基準も緩和され、
政治の意思も変わった。人は組織の論理で動く。隊員が「撃た
ない」という選択をすることが難しい状況になるだろう。
また、武器使用の結果人を殺した時は、個人として「殺人」した
ことになってしまう。法制度上の矛盾であり、不備。
 現場では、撃てば、より多く撃ちかえされ、多くの命が失われ

ることが危惧される。私が今あちこちで講演したり、本を書いた
りしているのは、「自衛官が犠牲になったとき、『なんでうちの
息子が』という母親の嘆きに、どう答えるのか」という問題意識
が根底にある。


Q(「中国の脅威」に対する反論)
 憲法カフェの講師をしていると、安保法制賛成の方がよく言って

くるのが「中国の脅威」論。これに対し、きっちり反論できるように
なりたいのですが。

A まず、尖閣諸島を防衛するのは、個別的自衛権の問題であり、
今回の法制とは関係がない。
南シナ海のシーレーン問題などについては、脅威の内容が何で、

どんな手段をとることが必要か、冷静に分析しなければならない。
それが安全保障。アメリカは中国と本気で戦争するつもりはない
というメッセージを送っている。日本がこの地域に軍艦を送るの
であれば、その分日本の防衛が手薄になる。それだけの自衛隊
のキャパシティーもない。
 「中国の脅威」と一言で言ってナショナリズムを煽るのは簡単

だが、反論するには多くの言葉が必要。感情に流されては、
安全保障にならないと言うべき。
(「冷静な分析」の詳細については、ぜひ後述のご著書をお読み

ください。)


Q(新しい安保法制が発動する際の意思決定プロセス)
 例えば、「ISILに対する攻撃に日本が後方支援する」という場合、

誰がどのように意思決定することになるのでしょうか?
 また、国民が「政府が後方支援しようとしている」ということを知る
ことができるのはどの段階ですか?

A ①日米の安全保障を担う担当者による相談・交渉、②国家安全
保障会議での決定、③閣議決定、④国会への発議、⑤衆議院・
参議院それぞれ過半数による承認、⑥自衛隊の出動 という流れ
になる。
 明確に国民に知らされるのは、④の段階。④から⑤の間は「衆参

両院は首相に承認を求められたらそれぞれ7日以内に議決する
よう努める」、という規定がある。 


 最後のQと今後の展望に関係して、柳澤さんのお話の中で
大事だなと感じたことを一つ。
 集団的自衛権の行使や後方支援のための自衛隊の出動には、
か・な・ら・ず衆議院・参議院それぞれの過半数の議員による承認
が必要になります(法律と違い、衆議院で再可決、なんてことは
できません!)。
つまり、来年の参議院選挙で、安保法制に反対の議員が参議院の
半分以上になれば、集団的自衛権や後方支援のための自衛隊の
出動をストップすることができ、一つの確実な歯止めとなります。
 その意味でも、来年の参議院選挙は、とっても大切ですね!

 私たちのいろんな疑問に、誠実にお答えくださった柳澤さん、
本当にありがとうございました!全てのやりとりをここで紹介する
のは(紙面の都合上)難しいのですが、教えて頂いた最新の防衛
の知識や、感じ・考えたことは、これからの憲法カフェで私たちが
講師として、みなさまにお伝えしますYO!


 さてさて。
安保法制について、もっと知りたい!勉強したい!と感じた方のために、
柳澤さんのご著書を2冊紹介しちゃいます。どちらも、とってもおススメです。
● 「自分で考える集団的自衛権 若者と国家」
 柳澤さんが、息子さんに語りかけるつもりで書いた本だそうです。
尖閣や北朝鮮のミサイルをどう考えるか、プロの目線で、でもとっても
わかりやすく書かれています。
● 「新安保法制は日本をどこに導くか」
 あのワカリニクイ安保法制の中身が、コンパクトにまとまっています。
できてしまった安保法制が、実際に"シームレス"に発動してしまった場合、
今後起こりうる戦争のシナリオは必見です。

 年末年始のコタツのお伴にいかが!



***** レジュメ *****

  安保法制の成立と、国民が考えるべきこと 2015年12月
<護憲派も改憲派も、まじめに考えてほしい日本と戦争のこと>


○ 安保法制とは何か?…「切れ目ない」自衛隊の派遣と武器使用

☆4つの法律事項+憲法事項
 ①自衛隊の派遣・・・重要影響事態法・国際平和支援法・PKO法
  *地理的制約をなくす<我が国周辺から地球の裏側まで>
      活動地域の拡大<非戦闘地域から非戦闘現場へ>
      ⇒湾岸戦争に兵站部隊による参戦が可能
  *安保理の武力行使容認決議がなくても<平和への脅威と認定すれば>
  *国連統括外の占領行政(国際連携平和安全活動)に参加
   ⇒イラク戦争に兵站部隊の参加・戦後占領統治に参加
   ⇒「ISIL攻撃の支援は、政策として、しない」

 ②武器使用権限・・・自衛隊法・PKO法
  *武器等防護の拡大で米艦護衛(自衛隊法§95-2)
   ⇒米海軍と同じROEで、現場が「応戦」
  *邦人保護措置(武器を使った邦人救出)
  *駆け付け警護・住民保護(PKO法)
  *共同宿営地の防護(PKO法・重要影響事態法・国際平和支援法)
   ⇒自己保存に限定<抑制的>から武器を使用する任務<必然的>へ
  ◆何が起きるか?
   国家意思なら「武力行使」=憲法が禁止
   個人意志なら「武器使用」=結果は個人の「殺人」
    ⇒憲法改正(軍法)なしに軍隊並の武器使用はできない

 ③米軍等への物品・役務提供・・・重要影響事態法・国際平和支援法
  *弾薬提供、発信準備中の航空機への給油が可能に
   ⇒戦闘行為との一体化

 ④隊員への罰則の海外適用
  *職務離脱、抗命は、海外でも処罰(自衛隊法§122-2)
   ⇒罰則による部内秩序=命令による海外での武力行使

☆憲法事項=集団的自衛権行使(武力攻撃事態法)
  *存立危機事態とは何か?<立法事実の不在>
   ⇒「ホルムズ海峡封鎖は現実には想定されない」「ミサイル防衛に当たる
    米艦だけへの攻撃はあり得るか?」
  *憲法解釈の整合性
   ・・・砂川判決(防衛のための措置を取り得る)=米軍駐留は統治行為
   ・・・72年政府見解(生命・自由・幸福追求権⦅憲法§13⦆のため、自衛は  
     可能)=集団的自衛権は必要最小限度を超える
    ⇒武力攻撃がないのに、生命・自由が脅かされることはない
   (「必要最小限度」は、程度ではなく、目的の概念)
  *憲法§9の規範性
   ・・・自衛隊発足後60年間維持した集団的自衛権不行使を国民が支持
      ⇒生きた9条の規範性<立憲主義に違背>

<参考>関連して改正された法律
 *重要影響事態船舶検査法
 *米軍等の行動関連措置法
 *特定公共施設利用法・・・港湾、飛行場、道路、海域、空域、電波の優先利用
 *海上輸送規正法・・・第3国船舶の戦時臨検
 *捕虜等の取扱いに関する法律
 *国家安全保障会議設置法


○ 語られない「大戦略」

 ☆大戦略とは?
  戦闘に勝つ<戦争に勝つ<平和を作る・・・どのような平和?
  *1次大戦後の平和と2次大戦後の平和の違い
  ・・・敗者が受け入れる秩序をどう構築するか
  *目的は戦勝ではなく平和(秩序)=戦争以外の選択肢を考える
 

 ☆戦争と抑止(国家の視点)
  戦争=暴力による意思の強制
  抑止=より強い暴力の顕示による戦争意志の抑圧
  *相手も強くなる⇒安全保障のジレンマ
  *メッセージの重要性・・・何が許され、何が許されないのか?
  *暴力以外の強制手段にどう対抗するか?
  *敵を作らないことが最高の抑止

 ☆「アメリカの船を守れば抑止(平和)になる」という論理
  *アメリカの船を攻撃する国から見れば敵国になる
  *抑止とは・・・米中が本気で戦争する前提⇒米中戦の戦場は日本  
   本気の戦争がなければ、抑止でなく危機管理
   本気の戦争を誰も予想しない・・・なぜか?
  *アメリカの船が弱いのか、戦争する意志が弱いのか?
  *アメリカは何を「抑止」するのか、日本は?

 ☆アメリカとの立ち位置
  *強者との同盟=巻き込まれの恐怖と見捨てられの恐怖
   ・・・戦争を決めるのは強国の特権
  *戦後日本のトラウマ=対米従属と安全
  ①自立か②無視か③寄り添いか?・・・戦略思考の自立が必要
  *「アメリカの船を守る」から「従属ではない」という錯覚

 ☆尖閣問題の本質を読み解く
  ①戦争の要因=利益・恐怖・名誉<トゥキュディディス>
   ・・・経済権益・軍事バランス・ナショナリズム(または宗教的価値観)
    尖閣の対立は、「名誉」=統治の正統性

  ②「戦争の三位一体(国民・軍隊・政府)」<クラウゼヴィッツ>
   *国民を動員するために必要なことは、国民感情を煽ること
   ・・・北東アジア危機の背景=大衆デモクラシーの陥穽   


○ 語られない戦争の「大義」<国家像>

 ☆武器使用によってリスクは増大する
  *イラクの教訓=一発の弾も撃たない
   ロケット弾攻撃、IED、ルメイサ事件
   なぜ撃たなかったのか・・・政治の意志と現場判断
  *訓練によってリスクは減るか?・・・引き金を引く訓練
  *殺すリスク=人格崩壊 
  *問題は、戦死・殺害を正当化する「大義」
   ・・・「普通の国になる」「アメリカのために血を流す」
  「なぜうちの子が?」に、どう答えるか?<大言壮語でなく、人格の目線で

 ☆戦争正当化の論理
  ⅰ列強と勢力均衡の時代・・・19世紀~第2次大戦
   *国家の生存(自給自足)・排他的経済圏・富国強兵
   =勢力均衡が崩れて戦争になる
   *国家の生存+適者生存で戦争を正当化<お国のため>
    ・・・殺せば英雄・犠牲は英霊
  ⅱ2極冷戦の時代・・・20世紀後半
   *経済的軍事的封じ込め(地球規模の配備とドルの力・核兵器)
   =核の恐怖・戦争の抑止が最大の戦略
   *全体主義という『絶対悪』で戦争を正当化<自由と民主主義のため>
   *一方、縁辺部では、民族自決と大国の介入<集団的自衛権=価値観による
    介入戦争の時代>
  ⅲ今日・・・911テロから21世紀
   *世界が単一の市場経済・技術の拡散・相互依存
    ・・・大国の戦争は世界システムの破壊
    ⇒戦争は、国民国家同士の「政治の手段」として非合理的に
   *イラク戦争=「悪の枢軸」・・・ならず者国家=絶対悪
    軍事力による政権転覆・しかし安定した統治には失敗
   *非国家主体の戦争
    ・・・ジハード=戦争の正当性を「神」に求める
     疎外と憎悪の連鎖=抑止は効かない
     国家意思の手段としての軍事力の限界⇒戦死を正当化する理念は?
   *人権を守る積極的平和<ガルトゥング>の思想・・・非軍事を重視

 ☆日本の国家像とは?
   *国家の論理で死ねるか?⇒どのような国か?
    ⇒日本を「普通の国」にするか、「普通の国」を日本のようにするか
   *70年の非戦という「日本ブランド」の再考
  


○ 語られない「平和のかたち」…抑止による平和か、納得の平和か?

 ☆日本への脅威の実態
  *北朝鮮の核・中国の離島奪取・・・守るのは個別的自衛権
   <日米安保=基地提供と安全供与・・・日本を守るのは米国の義務>
  *シーレーン(国際公共財)への脅威
    排他的利益か共通の利益か?
    集団的安全保障(敵国を想定しない)と集団的自衛権(敵国を想定)

  *国際テロの脅威・・・中東混乱の原因は大国の介入・欧州における差別
    「もはや一国では守れない」のは、この分野
    日本はいかなる貢献をするか?

 ①北朝鮮という「脅威」
  ・・・目的は体制の保証⇒核・ミサイルは外交カード<悪事か報酬か?>
  ・・・通常戦争を遂行する「国力」なし  
  *戦争するなら対南・在日米軍・太平洋米軍への同時侵攻or工作員潜入
  *ミサイル発射は「黒船」(1998の実感)・PAC-3配備(2009・2013)は過剰

 ②中国の狙い=大国としての承認願望と国内統治の維持
  *韜光養晦から大中華の復興へ
    2008東シナ海合意と領海侵入 2013尖閣国有化に反発
  *リーマンショック⇒「ドルはもはや基軸通貨ではない」2011胡錦濤
  *アメリカの見方=地域覇権を許さず・中国はFRENEMY
     軍事的にはアメリカの優位・されど侵食<A2/ADとASB>
   封じ込めは否定、ヘッジと責任あるステーク・ホルダーへの慫慂
  *中国の限界=経済成長に陰り・国内の腐敗撲滅・格差問題

  ☆南シナ海で何が起きているのか?
  *中国の「サラミ・スライス戦略」・・・軍隊を出さない既成事実化
  *米国の「航行の自由作戦」・・・領有への中立・攻撃の意図なしアピール
  *落としどころは「非軍事化」・・・検証の困難
  ⇒自衛隊は出るべきでない<安保法制は無用か有害>

  ☆南シナ海を守れるか・・・自衛隊のcapacity?
  冷戦時・陸18万、海60隻、空430機
  現計画・陸15.9万、海54隻、空340機
  *海自幹部は予算増を要求

 ③国際テロと日本
  *日本は、原爆から経済大国に復活した国<日本ブランド>
  *2億ドルの難民支援・・・「ISILと戦う」ためか?
  *自衛隊のイラク派遣は成功したか?
   ・・・対米お付き合いとしては成功(一人も死ななかった)
   ・・・米国の統治は失敗、それでも自衛隊派遣は成功か?

  ☆11.13パリ同時テロと今後の展望
  *9・11後の雰囲気に酷似<国際連帯>  
  *フランスに500万のイスラム人口・十字軍の発祥の地
  *空幕ではISILからの地域奪還は不可能
  *地上軍派遣なら、日本も協力⇒イラク戦争時のスペイン列車テロ


○ 強行採決と国民主権・・・民主主義の実践

 ☆「世論は変わる」・・・自衛隊も90%の国民が支持
  ⇒支持してきたのは国民を助け、一人も殺さない自衛隊

 ☆政府は間違える・・・特に戦争
  国民の閉塞感⇒強い政府への支持
  国民が現状に満足⇒賢い政府への支持
  ・・・「検証」がなければ、「風」による政府選択
 ☆問われる民意
  ・・・慢性的「違憲状態」の議会・巨大与党⇒多様な民意の黙殺
  ・・・自己実現が阻害されない社会が目標
  *担い手=政党・メディア・教育機関+国民自身による発信
  *デモによる発信が自己実現(SEALs)
  *民意の反映は選挙=参議院の承認権限に注目


[参考] 安保法制の背景・・・日米一体化

◆「日米防衛協力ガイドライン」実施のための法制
 *76年GL=日本有事における米軍の来援(日本防衛=安保§5)
  ・・・自衛隊が持久、米軍は来援と打撃力
  ⇒同盟の性格・・・対ソ連前線拠点としての日本防衛
  ⇒米戦略・・・ソ連海軍の太平洋への進出を防ぐ・自力防衛能力の慫慂
  *97年GL=朝鮮半島有事、米軍増派への後方支援(極東有事=安保§6)
  ・・・日本への波及を防ぐ、日本防衛は自衛隊が主・米軍は打撃力で補完(complement)
  ⇒同盟の性格・・・日本防衛から地域安保へ
  ⇒米戦略・・・北朝鮮・イラク抑止、冷戦時の駐留規模を維持
   ⇒沖縄基地問題・・・安定的駐留の継続
  *15年GL=地球規模における米軍支援(対中抑止・対テロ戦争)
  ・・・日米一体化、ミサイル。離島防衛は自衛隊が主・米軍は支援・補完
 (supplement)
   ⇒同盟の性格・・・日本防衛からグローバルな支援同盟へ
  ⇒米戦略・・・同盟国の役割増大、中国に対するリバランス、対テロ戦争の逡巡

◆2015ガイドラインにおける一体化
 *平時から有事へ、作戦の一体化
 ・・・シーレーンとアセット防護(平時のパトロール・重要影響事態・有事)
  ⇒情勢緊迫時の共同演習<見せる抑止と米艦防護>
 *情報指揮通信の一体化
 ・・・米軍のネットワークに入らなければ作戦できない
  ⇒宇宙・サイバー防衛<日本が弱い環にならないために>
 *政策の一体化
 ・・・平時からの政策調整メカニズム・あらゆる事態の共同計画作成
 ⇒日本:要請を断れない・米国:日本の戦争に巻き込まれない
 *総じて、日本の負担のみ増大、対米従属の制度化


◆集団的自衛権論議の経緯と狙い
(1) 冷戦後の海外派遣・・・二つの文脈
 ①湾岸のトラウマ→カンボディアPKO<停戦前提の国連協力> 
  PKO5原則=停戦合意・受け入れ同意・中立・業務中断・自己保存 
  「国または国準」との交戦(武力行使)を避ける 
 ②北朝鮮核開発危機→周辺事態<戦時下の同盟協力>
  「グラス半分の水の満足」=集団的自衛権不行使が前提
  非戦闘地域・弾薬提供、発信準備中の給油を除外
  
(2) 21世紀の同盟像
*2000アーミティジ・ナイ・レポート
 ・・・英国のような同盟国となるための集団的自衛権行使を慫慂
*2003イラク戦争・米政府から集団的自衛権を求める発言・小泉総理は否定
 2004「この国を守る決意」安倍幹事長
 ・・・血の同盟論<血を流さなければイコール・パートナーとは言えない>
*2004自衛隊イラク派遣・・・boots on the ground=better than everな同盟
*2007第1次安倍政権・・・安保法制懇で、集団的自衛権の論議
*2010オバマ政権の対テロ戦争見直し・・・同盟再漂流
*2012野田政権・平和のフロンティア部会・・・アジア連携の集団的自衛権
(3) 安倍政権の集団的自衛権
*2012「やり残したことがある」・尖閣防衛を公約に、第2次安倍政権成立
*2012~13 米議会調査局・・・安倍政権の歴史認識、近隣国との関係に懸念
*2013日米ガイドライン改定に着手
*2104安保法制懇報告・閣議決定
*2015ガイドライン改定合意・「法律を夏までに成立させる」
*「米艦(米国のパワーの象徴)を守る」という対米メッセージ
      ・・・従属と対等の並存
 ⇒国際情勢ではなく、日米政策サークルによる一体的同盟像の追及の果て