2020年10月20日火曜日

日本学術会議への人事介入 問題の整理2


 日本学術会議への人事介入の件、長谷部恭男教授のインタビュー記事

をご紹介しています。

「総合的・俯瞰的観点から判断した」という謎の説明は、学問の自由の

侵害を自白したようなものだ、というくだり、とても分かりやすい解説です✨


● もの言わぬ学者は「政府のイヌ」とみなされる

                   早大・長谷部恭男教授 (毎日) https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/010/159000c


◆ 人事介入(任命拒否)と、学問の自由(憲法23条)との関係について


長谷部教授 「学問研究の成果は、しばしば社会や政治部門の側からの

敵対的反応を招きがちです。だから外部の政治的・経済的・社会的圧力に

抗して各学問分野の自律性を保護しなくてはいけない。日本国憲法23条

で『学問の自由』を保障する条項を特別に設けているのもそのためです。」


◆ 任命拒否について「総合的、俯瞰(ふかん)的な活動を確保する観点

から判断した」と弁明していることについて

長谷部教授 「学問の自由の侵害そのものです。菅首相が学術会議は

『総合的俯瞰(ふかん)的な観点から活動を』と述べていたが、これは

つまり純粋に学問的な論理ではない理由に基づいて活動してもらいたい

と言っているに等しい。学術会議を学術会議でないものに変質させよう

としている。学術会議が、学問以外の余計なことを考えながら活動すべき

だというのは、学問の自由を完全にゆがめるものです。

 俯瞰的な観点から人事をしたというのも、学問的な理由ではないほかの

事情に基づいて人事権を行使したと言っているわけで、『学問の自由を

侵害している』と自白したようなものです。」


◆「公務員に任命するとなると、それぞれ社会性だとか、国際的な発信力

だとか、総合的にみる必要がある」?


長谷部教授 「それは全然理由になっていませんよ。国際的な発信力で

言えば、(今回除外された東大教授の)加藤陽子先生ほど国際的な発信力

のある人はそうはいないでしょう。いろいろ言い訳はするが、全く説明に

なっていない。要するに「私たちの気にくわない人を任命しなかった」と

言っているだけではないでしょうか。

 これでは、学問に基づいていろいろと意見を言うのはやめてくれ、政府

の気持ちをそんたくして意見を言ってくれということになる。今回のこと

があった上で、政府にきちんとものを言わない学者は、世間からは『政府

のイヌ』と見なされかねません。」