2020年10月30日金曜日

必読✨ イタリア学会「日本学術会議会員任命拒否についてイタリア学会による声明」

 

 イタリア学会( http://studiit.jp/ )が、

「日本学術会議会員任命拒否についてイタリア学会による声明」

発表しました。

とても気高く、明瞭で、頭にも心にもストンと落ちてくるので、

ぜひご一読ください。


<声明文(PDF)>

http://studiit.jp/pdf/%E5%A3%B0%E6%98%8E%E6%96%87%EF%BC%88%E7%90%86%E7%94%B1%E4%BB%98%E3%81%8D%EF%BC%89.pdf


 前半では、菅首相の「(学術会議の会員は)広い視野を持ち、バラ

ンスの取れた行動を行ない、国の予算を投じる機関として国民に理解

されるべき存在であるべき」だという発言について、

「ここには2つの大きな誤謬が隠されている。学問は国家に従属する

《しもべ》でなければならないという誤った学問観であり、国家から

お金をもらっている以上、政権批判をしてはならないという誤った

公民観である」と断じます。

 そもそも学問とはなにか、公務員とはなにか、について、非常に

分かりやすく説いているので、頭が整理されます。


 後半の「私たちが最も問題とするのは、《説明がない》ことである」

からのくだりは圧巻です。

ローマ帝国の民主主義が情報公開制度から始まったこと、

アイスキュロス『縛られたプロメテウス』やカフカ『審判』で描かれる

「説明しないという暴力」、

ソルジェニーツィンの『収容所群島』 で描かれる「説明されないこと

で増幅する市民の恐怖」などを挙げ、こう述べます。

「《説明しない》ことこそが権力の行使であり、国民を無力化させる

手法なのである。こうして国民は恐怖と不安から権力に従うようになる。

なかには権力に忖度し、取り入る者が出て来る。こうした事例からも

民主主義がいかに『説明すること』にかかっているかが判る。説明と

情報公開が民主主義を支える命であり、それを破壊する手段は《説明

しないこと》、《情報を秘匿する》ことなのである。」


 最後に、この人事介入をまだどこか他人事のように、関心を持てない

でいる人たちへ警鐘が鳴らされています。

「…一部の学者の話であり、自分たちには何の関係もないと思っている

かも知れない。しかし、問題の本質は、時の権力が『何が正しく、何が

間違っているかを決めている』点において、ガリレオ裁判と変わりない。

科学分野の基礎研究の予算は削られ続ける一方で、軍事研究には潤沢な

傾斜配分がなされる今の日本にあって、また軍事研究に手を染めない

学術会議の方針を苦々しく思う自民党政権においては、杞憂で終わら

ないことを心得ておく必要がある。

実際、すでに文科省は今月17日に行われる中曽根元首相の内閣・自民党

合同葬義において弔旗を掲揚し、葬儀中に黙禱するよう、国立大学や都道

府県教育委員会、日本私立学校振興・共済事業団、公立学校共済組合など

に通知を送っている。

公金は自民党のためのものではなく、国民のためのものである。

国民全体の奉仕者である公務員を、自民党のための奉仕者に変えようと

する暴挙は許されない。」



(涙)