2021年6月10日木曜日

LGBT理解増進法案 自民党の“断念”は差別の容認と同じ


 自民党が「LGBT理解増進法案」の提出を断念したことを受け、

法律家や研究者の有志が、直ちに提出を求める緊急声明を出しました。


● LGBT法提出求める声明、法律家1200人が賛同

                                   自民は党として受け取らず (ハフポスト)

 https://bit.ly/3v9tCxq



 理解の増進を図る目的にとどまるLGBT理解増進法案は、差別の温存

につながりかねないリスクもあり、差別禁止規定を求める当事者や専門

家から批判が相次いでいました。先んじて差別禁止規定を盛り込んだ

法案を作っていた野党もこの点を批判し、与野党間で修正協議が重ねら

れました。

 その結果、法の理念の部分に「差別はゆるされないものという認識の下」

という言葉を盛り込むことになったのです。差別禁止条項がないのはいか

にも不十分ですが、すべての条文に「差別は許されない」という理念を

反映させることで、重要な一歩、としてまとまることができました。


 にもかかわらず、その修正合意の案を持ち帰って了承を得るという最終

段階で、自民党内の一部の勢力の猛烈な反対により、まとまることができ

ず、結局、国会提出を諦めた、というのです。

その勢力とは、“極右”と呼んでも差支えない勢力。

「道徳的にLGBTは認められない」

「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背く

もの」

 などという暴言までもが飛び交いました。

 

 緊急声明を自民党本部に届けた中川重徳弁護士の、記者会見での発言を

引用します。


 「自由民主党の党内手続きの中で、性的少数者の困難を無くそうという

法律の審議をしているのに、LGBTQの人々に対する偏見や差別的な言葉

があった。そのことで頓挫していることが本当に残念です。当事者の方々

は深く傷ついています」

「私たち法律家が何より重要だと思うのは、国民の中で困っている人が

いれば、国会はそれを法整備で解決するということ。これは党派や会派

を超えた、民主正義の基本だと思います。自民党には政権与党として、

国民の状況と声を受け止めて役割を果たしていただきたい」

 

 法の下の平等(14条)は、ぜいたくな望みなどではなく、人が人と

して生きていく上で必要な最低限の人権保障です。それすら拒む自民党の

人権意識の決定的な欠落に、深い絶望を感じざるをえません。

 主権者一人ひとりが、この政党にこれ以上権力を託していいのか、

問われています。