別姓を許さない婚姻制度が、人権侵害ではなく合憲だーという
最高裁決定。
何度思い返しても、アンビリーバボーですね。
遅くなりましたが、日弁連がこれを批判し、「国に対し、改めて
民法750条を速やかに改正し、選択的夫婦別姓制度を導入すること
を強く求める」という会長声明を出したのでご紹介します。
「最高裁判所大法廷決定を受けて、
改めて民法750条を改正し、
選択的夫婦別姓制度を導入することを求める会長声明」
<一部抜粋>
今回の決定は2015年の判決を引用したのみで、民法750条
の違憲性について実質的な検討をしていないに等しく、極めて不当
である。同判決を変更して、違憲の決定を出し、人権の最後の砦と
しての役割を果たすべきであった。
もっとも、4人の裁判官は両規定について詳細な検討を加えた上
で違憲と判断しており、最高裁大法廷内でも意見が分かれたことが
うかがえる。多数意見も、民法750条を憲法に違反するものでは
ないとしたものの、同時に「夫婦の氏についてどのような制度を
採るのが立法政策として相当かという問題と、夫婦同氏制を定める
現行法の規定が憲法24条に違反して無効であるか否かという憲法
適合性の審査の問題とは、次元を異にするものである。」、
「制度の在り方は、平成27年大法廷判決の指摘するとおり、国会で
論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである。」
と重ねて指摘した。
補足意見は、更に強く国会に対して議論の促進を求めている。
国会は、最高裁大法廷が二度にわたり、国会の議論を求めていること
を重く受け止めるべきである。
法務大臣の諮問機関である法制審議会が1996年に選択的夫婦
別姓制度を導入する民法改正要綱試案を答申してから既に四半世紀
が経過し、様々な議論が尽くされたにもかかわらず、国会がこれらを
放置してきたものであって、これ以上の議論の先延ばしは許されない。
<抜粋終わり>
違憲だと判断した裁判官は4人。5年前の合憲判決から1人減り、
なんだか時代が後退した感もあります。けれどこの4人の書いた意見
はかなり手厳しく、特に女性差別撤廃条約違反であることを詳細に
書いているくだりは、だれも反論できないであろうレベルで緻密です。
極めて薄っぺらく原告の主張にこたえない多数意見が、まさしく
「理屈は勝てないから分厚く書けなかった」ことをよく表している
ともいえるでしょう。
裁判所が「憲法の番人」としての仕事をしないなら、私たち市民は
選挙で政治を変えて、人権保障を実現させるしかありません。
もうすぐ、選挙ですね!