先ほど紹介した、元最高裁判事の桜井龍子さんのインタビュー記事。
一人ひとりがあらゆる差別の解消に向けて、よくよく心にとどめて
おくべきことが語られていました。
● 日本のジェンダー平等へ「一つ一つの小さな差別への気付きが大切」
元最高裁判事の桜井龍子さん (東京)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/89651
<一部抜粋>
― 女性自身が意識を変えるためには。
一つ一つの小さな差別に気づくことが大切です。たとえば「男勝り」
という言葉。私もよく若いころ、男性上司にこう言われると、「そんな
ふうに認められたのか」と喜んだものです。でも、よく考えてみると、
男性が上位にあって女性は下位という構図を前提にした言葉です。
下位の女性にもかかわらず、上位の男性をしのぐほど仕事ができると
いう意味です。こうした差別的なニュアンスを持つ言葉や考え方、制度は、
気付かないうちに差別社会の構造の一つになっていて、別の差別を再生産
します。
<抜粋終わり>
例で挙げられている「男勝り」という言葉、つい先日、自民党の竹下
亘氏が橋本聖子氏を「褒める」際に用いました。あの時、多くの人は
その言葉の差別的な意味に気づいて怒りましたが、「別に怒るほどの
ことじゃなくない?」「言葉狩りだ」と竹下氏を擁護する声もありまし
た。その言葉が生み出された経緯、使われる文脈への思慮が浅いと、差別
への構造には気づけない、典型的なケースでした。
言葉や言い回し(女だてら、女々しい、あるいは夫を主人と呼ぶカル
チャー等々)は、女性にも永年すりこまれてきたもので、使っている側
が特に意識しないことも多いだけに、一度構造化したものは一気に解消
できない難しさがあります。でも人間がレベルアップすれば社会も言葉も
レベルアップするものです。
一人ひとりが「あれ?これおかしくない?」と地道に疑問をもつこと、
社会に問うことをめんどくさがらないことが、ほんとうに大事です。