2021年3月22日月曜日

「『違憲』判断には疑問が残る」という読売社説には疑問が残ります


 17日に札幌地裁で出た、同性婚を認めない民法の規定は「憲法14条

に違反する」という判決。読売新聞の社説が、とても良くないのでご紹介

します。


● 同性婚訴訟判決 「違憲」判断には疑問が残る (読売)

 https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20210319-OYT1T50281/



<一部抜粋>

 憲法24条は「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」すると

定めており、判決も異性婚について定めたものだと認めている。

これを踏まえれば、現行の民法や戸籍法に同性婚に関する規定がない

のは、当然のことと言えよう。

 にもかかわらず、これらの法律が同性婚を認めていないのは憲法

14条に違反するというのは、解釈に無理があるのではないか。

<抜粋終わり>


 「憲法24条は異性婚について定めている=憲法24条は同性婚を

否定・禁止している」と捉える、典型的かつ初歩的な間違いです。

何も言っていないだけで、民法と戸籍法に同性婚の規定がないのを

「当然」と考えるのはおかしい。先日、産経新聞の社説の解説でも

紹介しましたが、衆議院法制局は同性婚の実現について、「憲法13条、

14条などの規定が要請しているという考え方も十分成り立ちうる」

とまで答弁しました。

 社説を書くまでに判決や基本書を読む基本的な条文理解の時間は

あったはずで、大手の新聞社の社説があえて市民に誤解を拡げよう

としているのだろうか、とすら思います。


* 24条「婚姻は、両性の合意にのみ基づいて成立し…」の

「両性」という言葉に引っ張られて「両性=男女のこと、だから

同性婚は禁止されている」と解するのは、24条を理解できていない

初歩的なつまづきです。

 24条は「カップルが結婚したければ、親の許しなど必要ない」、

という趣旨で定めた条文であり、日常的にもなじみのない「両性」

という言葉に「男女」という意味を強調することは条文の誤読に

つながります。


 もう一点、この社説の「同性婚を法的に認めるには、社会の幅広い

同意が不可欠だ。」という一文は、看過できません。。。


 差別解消や人権保障を「差別してる側」が許すとか認めるとか、

こういう傲慢な発想は今すぐ改めるべきです。マイノリティの権利保障

は、マジョリティが「いいよ」というかどうか次第だ、とでも言いたげ

な考えです。

 そこに人権が侵害されている人がいる、差別を受けている人がいる、

その事実だけで、制度は変えなければなりません。(鈍感な)マジョリ

ティがどう思うかなど関係ない。人権とはそういうものです。