2014年6月9日月曜日

エンタメ憲法シリーズ 図書館戦争と憲法

 「図書館戦争」という作品のことを聞いたことがある方は多いかと思います。
「阪急電車」「フリーター、家を買う」「県庁おもてなし課」等、多数の作品を書いておられる有川浩さんの書かれた小説で、アニメや映画になっています。

★ネタバレな内容を含みますので、ご注意ください★

 昭和末期、公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を取り締まるディア良化法が、検閲の禁止を定める憲法に反すると主張する反対派を押し切って成立してしまい、そこから30年後を舞台にしています。メディア良化委員会は、公序良俗に反する書籍等を取り締まる権限があり、その執行機関である良化特務機関は武器まで使用できます。
 この検閲に対抗するために、既存の図書館法に、図書館の自由を定める条文を追加し、それを根拠に、図書館も武装して図書隊を設立して対抗します。
 高校時代に、本屋で検閲対象図書を買おうとしていた主人公の笠原郁は、そこで良化特務機関の検閲に遭遇してしまいますが、ある図書隊員に助けられます。それで、その図書隊員のようになりたいと思って、図書隊に入ったのですが…というのがさわりの部分ですが、

1 メディア良化法は立憲主義に反しています。
  耳タコ状態かと思いますが、政府が勝手なことをしないようにするために憲法で権力を制限しているわけです。検閲を認める法律は違憲ですので、そのような法律を国会が通してしまうのは、立憲主義に反するのです。最初に原作を読んだときは、こんなのあり得ないと思ってたんですが、集団的自衛権の話を聞いてると、現実になっちゃいそうで、怖いですよね。

2 憲法に定める検閲の禁止に反しています。
  いや、もう、検閲の禁止って絶対なんだって習うんですよ。普通に。法学部では。
  だって、何か出版しようとしたら、事前に政府がチェックして、都合が悪いと思ったら、その流通を止めちゃうんですよ。情報がなければ、政府のやっていることが正しいのか、間違っているのか判断できません。何が正しいか、美しい国なのかを決めるのは政府ではないのです。こんな表現は価値がないよと思われたら、市場で受け入れられないわけで、それに任せればいいのです。情報が流通することは、民主主義の大前提です。
  そして、表現をするためには、情報を知る権利も大事です。知らなければ、表現できませんから。その「知る権利を侵害しちゃうぞというのが、ご存じ、特定秘密保護法なのです。私たちも、国を守るために適切に秘密を守ることは必要だと理解しています。しかし、この法律がとんでもなくヤバいことは「これでわかった!超訳特定秘密保護法」で書かせていただいたとおりです。是非、書店でお手に取っていただければと思います。

 なお、天声人語でご紹介いただいたためか、パーティで多くの方に知っていただいたためか、amazonでは品薄になっている模様です。書店でも見当たらない場合は、書店でご注文いただくか、岩波書店に直接ご注文いただけたらと思います。

<岩波書店ブックオーダー係>
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 ところで、この図書館戦争の映画の中で私のツボは、笠原が書店で勝手に見計い権限を行使してしまって、堂上に助けてもらい、堂上の目の前で「私の王子様をバカにしないでっ!」と言ってしまうところなのですが(悶絶必死)、みなさんのツボはどこですか?