2020年2月21日金曜日

検事の定年延長 閣議決定で事実上の法改正





 現政権の、黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定。
 何が大問題か、整理すると、

 この閣議決定は国家公務員法の定年延長の規定を適用したものです。
 しかし、国家公務員法と検察庁法は、一般法と特別法の関係にあります。
一般的なルールとしては国家公務員法がありますが、特別法が適用される
範囲に関しては、一般法は適用されません。
 検察官の定年に関しては、国家公務員法は適用されないのです。
 この定年延長規定は検察官には適用されないことは、1981年に
政府が明確に答弁しています。

 詳しくは、下記記事をお読みください。


● 東京高検検事長の定年延長はやはり違法
               (ヤフーニュース 渡辺輝人弁護士)

https://news.yahoo.co.jp/byline/watanabeteruhito/20200214-00163053/


 それを突然、閣議決定はちゃぶ台をひっくり返すように、検察官に
国家公務員法を適用して、黒川検事長の定年を延長したのです。
 事実上の法改正を、国会ではなく政府が、「法解釈を変えたんで」と
いう閣議決定1つで、やり遂げてしまった。法治国家としてあっては
ならない、大事件です。


 野党が大批判して追及している最中ですが、それに対して法務省は
20日午後の衆院予算委員会理事会で、法解釈変更の経緯を示す文書
を提出した、とのこと。
 
● 政府、検事長定年延長妥当の文書 野党、
              日付なく真偽不明と反発 (共同通信)
 https://this.kiji.is/603143285703869537



 でもこの文書、「検察官にも国家公務員法の規定が適用されると
解するのが自然だ」と言い張っているだけで、理屈もへったくれも
ない。そして文書作成日の記載もない…。

 めちゃくちゃ、以外に表現のしようがありません。


 解釈を180度変えることは、「解釈」というよりは事実上の法改正
です。時の権力が自分の都合に合わせて邪魔な法律を「解釈変えたんで」
と破ることは、国会の立法権を奪うも同然のこと。

 これが許されたら、この国の三権分立は致命的に壊されてしまいます。
 「おかしい」と、声を上げましょう。