2020年秋、菅首相(当時)が日本学術会議の新会員候補のうち
6名の任命を拒否しました(任命拒否の理由について、いまだ具体的な
説明はなし)。権力が人事介入して学問コミュニティの自律性を侵す
ことは「学問の自由」の侵害です。権力にとって不都合な学問研究を
排斥する国家になりつつあります。
人事介入をきっかけに、は日本学術会議の「組織見直し」に乗り出し
ました。
政府方針では,会員選考に関わる第三者委員会の設置、首相による実質的な
任命権の強調など。国立アカデミーとしての日本学術会議の独立性を弱め、
「政府に奉仕する」組織に変える意図があるのではないでしょうか。
● 学術会議「独立性損なう」と懸念
組織見直し政府方針で梶田会長 (東京)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/221277
ここで、「首相の任命は日本学術会議の『推薦に基づいて』(日本
学術会議法7条2項)行われるのだから拒否しても問題ない」という
主張に対しては、ぜひ長谷部恭男教授のインタビュー記事をお読み
ください。日本学術会議からの「推薦」は、強く首相を拘束している
ことが分かります。
● もの言わぬ学者は「政府のイヌ」とみなされる
早大・長谷部恭男教授 (毎日)
https://mainichi.jp/articles/20201013/k00/00m/010/159000c
<一部引用>
この「基づいて」という文言は、行政機関の権限行使を強く拘束する
場合に使われるものです。つまりよほどの理由がなければ、その通りに
任命するものです。
しかも同法3条は会議が「独立して」その職務を行うとしており、
政府からの独立性を尊重すべき旨を明確にしています。
<引用終わり>
日本学術会議という巨大な(権力から独立した)学術機関が、「政府に
仕える」組織へと変えられようとしています。これは、私たちとけっして
無関係じゃありません。不都合な学問研究を押しつぶす「異論を許さない」
政治は、首相にヤジを飛ばす市民を排除し、不都合な映画も出版も排除
するでしょう。
<あすわかTwitter>
https://twitter.com/asuno_jiyuu/status/1605513571017711616