日本学術会議が12月21日付けで出した声明をご紹介します。
声明
内閣府「日本学術会議の在り方についての方針」
(令和4年12月6日)について再考を求めます
https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-25-s186.pdf
内閣府からの説明によれば、公表された方針を基に選考過程に関与する
第三者委員会の設置を含めた法改正が準備され、次期通常国会への法案
提出が予定されているとのことである。しかるに、これらの事項は日本
学術会議の独立性に照らしても疑義があり、日本学術会議の存在意義の
根幹に関わるものである。その重大性にもかかわらず方針文書に具体的
記述はなく、現時点でも個別改正事項の詳細は明らかにされていない。
次期通常国会の召集まで残された時間は僅かであり、しかも以下に示した
通り、いくつもの検討課題があるなか、法改正に向けて慎重な検討と丁寧
な議論を行うことができるのかどうか、強い懸念を抱かざるをえない。
主な懸念事項は以下の通りである。
1) そもそも、すでに学術会議が独自に改革を進めているもとで、法改正を
必要とすることの理由(立法事実)が示されていない点
2) 会員選考のルールや過程への第三者委員会の関与が提起されており、
学術会議の自律的かつ独立した会員選考への介入のおそれのある点
3) また、第三者委員会による会員選考への関与は、任命拒否の正統化に
つながりかねない点
4) 現在、説明責任を果たしつつ厳正に行うことを旨とした新たな方式に
より会員選考が進められているにもかかわらず、改正法による会員選考を
行うこととされ、そのために現会員の任期調整が提示されている点
5) 現行の三部制に代えて四部制が唐突に提起されたが、これは学問の体系
に即した内発的論理によらない政治的・行政的判断による組織編成の提案
であり、学術会議の独立性が侵害されるおそれが多分にあることを示した点
6) 政府等との協力の必要性は重要な事項であるが、同時に、学術には政治
や経済とは異なる固有の論理があり、「政府等と問題意識や時間軸等を共有」
できない場合があることが考慮されていない点
<抜粋終わり>