2022年6月30日木曜日

自民党の目指す改憲4項目のおさらい ①自衛隊明記案


 参議院議員選挙の結果は、改憲の行方を確実に左右します。

ぜひ念頭に置いた上で、投票して下さい。


● 参議院選挙に向け 与野党9党 憲法改正めぐり議論 NHK日曜討論 (NHK)

 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220626/k10013689021000.html


<一部引用>

 自民党の茂木幹事長は「自民党は4項目の条文イメージを示して、国民

への説明も全国各地で行っている。時代の転換点にあって、緊急事態条項

をはじめ、新しい時代にふさわしい憲法のあり方を、国民に選択肢として

示すのは国の役割だ。この選挙後、できるだけ早いタイミングで憲法改正

原案の国会での可決、発議を目指したい。主要政党間でスケジュール感を

共有し、早期に憲法改正を実現したい」と述べました。 

<引用終わり> 


 …「新しい時代にふさわしい憲法のあり方を、国民に選択肢として

示すのは国の役割だ」という理解が、まず立憲主義の建前からして

「???」ですね。私たち主権者は、権力を檻に入れるにあたって、

「檻の新しい設計図を書く」使命を権力に課している…なんてことは、

ありません。

 ともかく政権与党はそういう自意識で、憲法改正に向けて極めて

前のめりです。(突出した保守層に向けてのアピールとも見えますが、

議席が確保できれば強引に進める可能性は大きいので、軽視できません。)


 自民党がここ数年特に積極的に提示してきた改憲案は、下記の①~④です。

①自衛隊を憲法に明記する案

②-1 緊急事態条項の創設

②ー2 緊急事態における国会議員の任期延長

③ 教育環境の整備

④ 合区の解消

 それぞれどのような案なのか、どのような問題があるのか、投票前に

ぜひ知って下さい。


 


① 自衛隊を憲法に明記する案                             

 「自衛隊を憲法に明記するだけで、今までと何も変わりません」と

自民党は述べます。

 たしかに自衛隊を憲法に書き込むくらいなら、特に問題ないのでは?

と思ってしまうかもしれません。でも、現在の自衛隊はもはや「あく

までも専守防衛に徹する防衛力」ではなく、アメリカの軍事作戦に

参加する事実上の戦力です。しかも自衛隊に敵基地攻撃能力まで持た

せようなんて話が出ているほどで、万が一実現してしまえば先制攻撃も

しかねない組織になるわけです。

 その自衛隊を憲法書き込めば、9条2項(戦力不保持)ってどう

なるの?という話です。明らかに矛盾しますし、9条2項が空文化

(死文化)矛盾する危険があります。日本国憲法の三大原則の1つが

なくなるという、変革がもたらされる改憲です。




 それに「何も変わらない改憲です」という主張って…本当に何も変わ

らないのであれば、わざわざ850億円もかかる国民投票をしてまで

改憲する必要があるのでしょうか?

 自衛隊違憲論を封じるための自衛隊明記だ、とも主張されています。

「自衛隊」という文字が明記されても、保有する実力や参加する作戦の

内容が「必要最小限度の防衛」の範囲内なのかどうか、議論は確実に

起きます。封じることなどできません。



<つづく>