1つ前の記事でご紹介した記事で、社会学者の菊地夏野准教授
(名古屋市立大学)は「構造的な性差別を問題視しない女性政策」
の歴史と批判を語りっておられました。続けて菊地氏は、自民党の
中で女性の登用を要求する女性議員たちの動きをどう見るべきか、
お話しています。
● 「わきまえる女性ばかりの男女平等」に注意 社会学者の警鐘 (毎日) https://mainichi.jp/articles/20210418/k00/00m/040/028000c
<一部抜粋>
稲田さんたちの動きには注意が必要だと思います。稲田さんのこれ
までのルッキズム(外見至上主義)的な発言や保守的な政治スタンス
を見ても、本当に女性差別やジェンダー不平等の解消を目指している
ようには思えません。むしろ稲田さんもリーン・インの立場でしょう。
最近になってシングルマザー支援の拡充に取り組んだり、夫婦別姓
反対のスタンスを変えたりしていますが、これはジェンダーに関心の
ある層を自民党支持に取り込もうとしているように思います。
(中略)
責任あるポジションを男女同数にすることや、トップを女性にする
ことはもちろん重要です。しかしそれで問題が解決するわけではあり
ません。ジェンダー平等は、雇用の格差是正や家事育児の支援など、
既存の不平等や格差の構造を是正する政策と一体で目指されなければ
なりません。
今のままでは森発言以降のジェンダー不平等への不満の高まりを、
「女性が半分になりました」という表面的な対応で支持集めに利用され、
実際には“わきまえる女性”だけを採用して終わらせる、というシナリオ
が見通せてしまいます。
だから稲田さんをはじめリーン・インや自民党の新自由主義に基づく
女性政策には警戒が必要なのです。
<抜粋終わり>
「すべての女性が輝く」「女性活躍」といったスローガン自体に
「なんかちがう」とモヤる気持ちを抱いた人は少なくないはずで、
それはつまり真の性差別の解消を目指すものではないからだ、と膝を
打つような感覚です。
女性議員を増やすことと「性差別の解消」という信念が土台にある
女性政策を、同時に求めていく必要があります。
選挙がたくさんある今年、こういう視点で候補者や政党を選んでみま
せんか。