2020年9月6日日曜日

映画評論家たちの対談本のサブタイトル→「すべての映画は政治的だ!」



 一日で一気に読めてしまうけど深い読み物をご紹介します☆
特に映画好きな人、朗報です~~(もう知ってるよーと言われるかも
ですがw)。

 人権や平等の価値というものは人類共通の普遍的な価値です。
人権侵害や差別は許されない。そんなこと、自由や平等を標ぼうする
民主主義国家であれば当たり前のように憲法に書いてあり、社会でも
コンセンサスがとれている…もののはず。
 ですが…人種差別や民族差別、そして性差別は日本でも諸外国でも
まったく止まず、差別へ無関心(いやむしろ寛容)なリーダーが支持
されるという状況。
 居直るかのように、最低限の人権感覚を踏んづける社会を、2人の
映画批評家が「映画という娯楽」の現在と未来を語りながら国内外の
さまざまな政治トピックを斬る対談本が先月、発売されました。
 大きな声でいえないタイトルですけどね~…💦

『ヨシキ×ホークのファッキン・ムービー・トーク!』
 https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781619040
高橋ヨシキ 著 / てらさわホーク 著
すべての映画は政治的だ!
(1,870円 イースト・プレス)

 著者2人の、オカルト映画やSF映画など楽しく批評しまくっている
姿だけ見ている方はびっくりするかもしれませんが、映画を愛し、映画
という娯楽を身体の一部にして、映画を通して世界と真剣に向き合って
きた人が、映画の話をしているはずなのにいつの間にか政治を語ってい
た、というのは、必然すぎる話なのではないかと感じます。
「すべての政治は政治的だ!」というサブタイトルは当たり前だし秀逸
です。

 人種差別、#ME TOO運動、アンチ・ポリコレ、「日本スゴイ」、
歴史修正主義、安倍政権、貧困… 映画という娯楽・文化を語ろうと
思えば避けて通れないし、やはり文化(人間らしさを形作るもの)と
政治は切っても切れないものなのだと再確認できます。「芸能人が政
治を語るな」という声が、いかにバカげたものか、ってことも。
 憲法の勉強、というよりは、人権のセンスないし「人間がよって立つ
べき軸、最低限の良識」の持ち方を確認するための本として、おススメ
です☆


 
 先日、著者2人がラジオでこの本について語っていた部分を一部だけ
書き起こしました。
 (2020年9月2日 TBSラジオ『アフター6ジャンクション』から)

ヨシキ …映画の中身の話ももちろんいいんだけども、やっぱりその、どう
 考えてもここ10年ぐらい、世の中があまりにもひどい勢いでどんどん
 悪くなるので、それと映画との間の折り合いをどうつけるかみたいなこと
 とかもね、あ、真面目か~。

宇多丸 いやめちゃくちゃ真面目ですよ、でもこれ、はなしているうちに図
 らずもそういうトーンになってきちゃった、という?

ヨシキ 問題意識があるから

ホーク 日々やっぱ憂いておりますから…

宇多丸 ホークさんがいうとなんかふざけているように聞こえるけどw
 でもすごいほんとにいろんなトピック…

ヨシキ 時代によって態度っていうかあり方っていうのは変わらざるを得な
 いところがあって。やっぱり、なんていうのかな例えば、世の中でわりと
 まともな価値観が盤石だと思われている時は、そこをちょっとからかいの
 対象にして笑ったり面白おかしくちゃかすという余裕もある。だけど、今
 くらいのほんと予想もしていなかったくらいひっくり返っている状況だと、
 俺とかホークみたいな人間がこともあろうに真面目なことを言わざるを
 得ないというw

宇多丸 要するに前提となる良識の説明から始めないといけないじゃない、
 という。良識が共有されていればそれをからかうことができるけど、そこ
 の説明からしないと、もう冗談すらいいたくない状態っていうか。

ヨシキ なんでレイシズムはダメだぞみたいなところから入んなきゃいけない
 のかよくわからないんですけどね…。