「男らしさ」の呪縛がどれだけ男性を(無自覚に)ハラスメント体質
にし、女性を苦しませ、社会全体を息苦しいものにしているか、見事に
指摘した本が朝日新聞の夕刊で紹介されていました。
● 社会の「男らしさ」、問い直す
「効率とらわれ、ハラスメント無自覚も」 (朝日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S14638405.html
清田隆之氏の『さよなら、俺たち』は男性自身が「“俺たち”がとらわれ
ている男らしさ」について掘り下げ、あすわか太田啓子弁護士の『これか
らの男の子たちへ』は女性(母親)側からの警鐘です。
2018年に発売された女子小学生向けの『おしゃカワ!ビューティー
大じてん』という本は、ひたすら男子にウケる(モテる)ためのファッション
やメイク、「これでカンペキ!モテしぐさ12連発」などを紹介したあげく、
「キュートな会話テクニック」と題して、「男の子はホメられるのが好き!」
と「さすが!」「知らなかった!」「すごい!」…、「さしすせそ」のあい
づちを指南。。。
何度も言いますが、女子小学生向け、なんですよねこの本…
『さよなら、俺たち』では「なぜ男たちはそういった女性を好むのか」と
考察し、男性の「自分が劣った存在・弱い存在であることを認めたくないと
いう不安と隣り合わせであるがゆえに、女性に自尊感情のケアを求めてしま
う」傾向を指摘します。
『これからの男の子たちへ』では、女性が男性の機嫌をとるのは当たり前
かのような文化は、男女の対等な関係の構築を妨げてしまう、と指摘します。
女性の中にも「男性を立ててあげるのが一枚上手」と処世術のように肯定的
に語る人はいますが、それも結局「女性は男性のケアをする」という性別役
割分担の固定化に一役買ってしまっていますよね。
自分の機嫌くらい自分でとりなさい(間違っても女性に立ててもらわない
と機嫌を損ねるような男性にはなるな)、と育てなければ…と、全国のお父
さんお母さんとつながりたいものです。
放っておけば気づかないうちに確実にしみこんでしまう「男らしさ」は、
男性自身にとっても、女性にとっても、ほんとうに息苦しいものです。
その根深さに気づき、多かれ少なかれ自分にもしみこんでいることに気づく
だけでも、社会にとっては大きな一歩になるのではないでしょうか。
*『これからの男の子たちへ』 太田啓子著 大月書店
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b516466.html
*『さよなら、俺たち』 清田隆之(桃山商事)著 STAND BOOKS