今日は3月31日です。
4月1日の前日ということで、今日は憲法40条を取り上げます。
まずは条文をチェックしましょう。何人も、抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受け
たときは、法律の定めるところにより、国にその補償
を求めることができる。
正当な理由がなければ逮捕されたり、勾留されたりすることは
ないという権利は、憲法34条に定められていましたね。
これは逆に言えば、一定の正当な理由があれば、国は私たち市民を
逮捕することができる、ということでもあります。
逮捕された人は、裁判で無罪を主張することができます。
検察官は有罪を立証できない限り、無罪判決が言い渡されます。
ただでさえ、それまで逮捕・勾留されていた人は、いろいろな
自由を奪われています。
自由に出歩くことができません。仕事をすることもできません、
捕まったままで働けなければ、職を失う可能性も低くありません、
家族や友人と自由に過ごすこともできません。
残念ながら日本はいまだに「逮捕されたんだから有罪なんだろう」
というイメージが根強く、「あの人、逮捕されたんだってー」という
噂が広まるだけで世間の信用も失ってしまいがちです。
なので、たとえ無罪判決を言い渡されたとしても、逮捕・勾留
されている間に失われた時間や生活は、もう戻ってきません。
そこで、憲法40条は、逮捕・勾留されていた人が無罪判決を
受けた場合は、国に対して経済的な補償を求めることができること
を定めています。自由を奪われていた日数に応じて、1日あたり
一定のお金が支払われることになっています。
もし、憲法で定められていなければ、法律でこの制度を廃止でき
ちゃいます。そんなことになったら大変です。
時の政府が、政府にとって邪魔な人物を、裁判で無罪になるだろう
と思いながらも、とにかく逮捕して自由を奪う、なんていうことを
したとしても(ヒドイですね)、国はなんにも補償をしなくてよい
です、ということになりかねないからです。
このような規定は世界的にも珍しく、他には…イタリアの憲法に
あるくらいです。さすが日本国憲法!
政府の横暴を許さないための立憲主義に基づく規定ですから、不断
の努力で守らなければいけませんね。