2017年3月21日火曜日

『テロ等準備罪』!?無害なフリしちゃってポイント解説 ①


 今日、共謀罪から名前を変えた「テロ等準備罪」の法案が、
閣議決定されました。


● 「テロ等準備罪」新設法案を閣議決定(NHK)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170321/k10010918751000.html?utm_int=news_contents_news-main_001&nnw_opt=news-main_a


 金田法務大臣は、「法案は処罰の対象となる団体を明文で
『組織的犯罪集団』に限定することで、一般の会社や市民団体
といった正当な活動を行っている団体が適用対象とならないことを、
一層、明確にしている」と述べたそうです。

 菅官房長官も言ってました。
 「一般の方々が対象になることはあり得ない」

 
 よく、こう報道されていますね。
 あくまでも、一定の犯罪の実行を目的とする「テロリズム集団その他
の組織的犯罪集団」が団体の活動として、重大な犯罪の実行を計画
した時にしか、テロ等準備罪(共謀罪)は成立しません、って。


 「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」…
 いかにも、それっぽい人しか関係ないように見えます。
 善良な一般市民である私にもあなたにも縁遠いもののように感じます。
 でも、ここに大きな大きな落とし穴があります。
  

 テロリズム集団その他の「組織的犯罪集団」というのは、なにも、
犯罪を行うためにあえて結成された集団だけを言っているのでは
ありません。
 市民団体、住民団体、NPO、NGO、労働組合、漫才コンビ、夫婦、
ママさんバレーチーム、アイドルグループ…平穏な社会にいくらでも
存在する、ごくごく普通の「複数人の集まり」は、なんでも当てはまり
ます。
 その普通の団体の、内部の会話やコミュニケーションに注目して、
捜査機関(警察)が、「このやりとりは、犯罪を計画するやりとりだ!」
と認定してしまえば、その瞬間に、その市民団体も、ダンスボーカル
ユニットも、兄弟も、「組織的犯罪集団」と見なされてしまうからです。
 

 「この団地の裏の大きな森が、国道を通すために伐採されちゃうん
だって!」「さっそく工事始まるらしいよ」「おかしいよね、なんの説明
もないし!明日は現場に担当者来るっぽいよ」「それ、ちょっとひどいよ、
直談判してみようよ」
 団地の住民が集まる管理組合で、こんなやりとりがあれば、
「組織的な威力業務妨害罪」の共謀だ、と見なされかねません。
 この瞬間に、管理組合は、「組織的犯罪集団」と言われてしまうのです。


 企業や役所に「おかしい!」と声を届けよう、というアクションを起こ
そうとすれば,とたんに「組織的な威力業務妨害罪の共謀」なんて
おどろおどろしい認定をされるなんて、あまりにも理不尽だな、って
思いませんか。

 だって、そんなの昨日まで普通にやってたことだし!

 業務妨害してやろうとか、そんなこと思ってないのに!

 ただ、おかしいことをおかしいって訴えたかっただけなのに!

 アポをとりたくてもとってくれないから、直談判するしかないのに!


 …一般人が、この「テロ等準備罪」によって、かんたんに「組織的犯罪
集団」として犯罪者扱いされていくことが、容易に想像できます。
 
 「そんな悪いこと、政府は考えてないよ。」
 「考えすぎでしょう。」
 政府を信頼して、楽観視する人も少なくないかもしれません。
 
しかし、戦後民主主義の70年間、警察(捜査機関による)法律の濫用、
犯罪のでっちあげ(えん罪)、市民運動の弾圧は、まっったく無くなりま
せん。袴田事件など、証拠をねつ造して無実の人が殺人の罪で何十年
も牢獄に閉じ込められたり、沖縄の米軍ヘリパッドの建設に反対する人が、
悪性リンパ腫を患っていて逃げも隠れもしないことが明らかなのに、
不当に逮捕されたあげく5ヶ月も勾留されたり。

 残念ながら、捜査機関や権力の「善意」「正義感」をただただ信頼して
いれば平穏に暮らせる社会とは、ほど遠いのが、現実です。
 ですから、濫用の危険がある、人権が侵される危険のある法律は、
絶対に作らせてはならないのです。


 「テロ対策」とか言っちゃって… 対象は、「全国民」です。
 すべての一般人が対象になり、コミュニケーションと心の中が監視
される。それが「テロ等準備罪」です。