2020年5月3日日曜日

社会不安に“便乗”する改憲 憲法記念日②




● 【独自】“緊急事態条項”必要性訴えへ
          3日の憲法フォーラムで 安倍首相 (FNN)
 https://news.yahoo.co.jp/pickup/6358781


 予想どおり、首相は市民の「もっと強い規制を」という声を
憲法に緊急事態条項を設ける」という改憲への支持につなげよう
としています。

 改めて確認しましょう。私たち国民が求めているものと、
「緊急事態条項の創設で実現するもの」が、どれだけ違うかを。


 「改憲で緊急事態条項を創設すれば今般のような混乱も解決できる」
と首相や与党は訴え、それに共感する動きもあるようですが、それは
まったくの大誤解です。

 たしかに創設されれば政府の一存で自粛要請どころか自粛命令が
出せるでしょう。しかし、休業補償がなされるかどうかはまったく
無関係です。むしろ補償ないまま、休業要請に応じない経営者の逮捕
も可能(合憲)になります。


 「会社が休みにしてくれないから働かざるを得ない」
 「政府がもっと強い規制をかけてくれれば会社も閉まるのに」という
状況は、憲法に緊急事態条項を創設したところで解決しない問題(憲法
とは無関係の問題)です。
 休業補償をするかどうかは政治問題で、たとえ緊急事態条項で強権的
な都市封鎖が可能になっても、政府に休業補償を出す気がなければ、
出ないのです。
 刑罰をふりかざして外出禁止や休業を命じ、生活費がない、家賃が
払えない、店をつぶすしかない、という叫びは無視なのだから、当然
餓死者も自死者も出るでしょうし、今よりひどいくらいです。


 未知のウイルスにおびえ、不自由で不安な生活は、多かれ少なかれ
“平静”を奪います。その国民の不安にかこつける形での「政府が大ナタ
をふれないのは何もかも憲法のせいなんだ」という乱暴で粗雑な議論に、
どうか流されないで下さい。本当に「強い規制」が必要なら、法律の
運用・改正で十分可能です。


 ウイルスを警戒するのと同じくらい、ウイルスに便乗して民主主義
を壊す権力も警戒しましょう。
 こんな時だからこそ、しっかり自分の頭で考え、「なぜ?」を大切
にすることが大事です。「批判している場合じゃない、一致団結を!」
という発想こそ、不安にあおられた思考停止のファシズム的なもので
あることを、何度でも、何度でも、確認し合いましょう。