2025年8月6日水曜日

何度でも繰り返し 「抑止力」の話





 「抑止力によって平和が維持できる」とよく聞きますが、本当でしょうか。
「いざというときの報復の準備」を見せつけて威嚇することで、他国との
信頼関係が増すのでしょうか…??
 むしろ周辺国の不安を煽り、軍事的緊張を高めるのでは?
防衛体制の強化は、自ら戦争の危機を作る本末転倒なように思えます。
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 「抑止力による平和維持」は確実な方法でしょうか?
  どんなに強大な兵器をそろえても、「攻撃されたら倍返しで報復するぞ
(だから武力行使するな)」というメッセージが相手国に伝わらなかったり、
相手国が理性的に行動しなければ、抑止は失敗します。結局、相手国次第の
不安定・不確実なものです。

 例えば、太平洋戦争は勝算がないにもかかわらず、日本は自ら戦争の火ぶたを
切りました。アメリカの“抑止”が効かず、日本を抑え込めなかったといえます。
また、ロシアが侵略戦争に踏み切った上に、今現在も核兵器使用をちらつかせて
国際社会を脅かしているのは、“抑止”の失敗の表れではないでしょうか。

 「力には力で対抗するしかない」路線に転換して防衛体制の強化つまり軍拡に
乗り出せば、際限はありません。日本が周辺国の軍拡に“挑発”されて軍拡に乗り
出したのと同様、周辺国も日本の軍拡に刺激されて更に軍拡を進める“競争”に
なるからです。ひたすら不信感と敵意が煽られ、軍事的緊張が高まります。


 軍拡にはお金がかかります。つまり軍拡を進めると、予算調達のために増税や
福祉の切り捨てが進みます。増税はもちろん、医療、教育、保育、介護、年金etc、
国民の人間らしい生活の大切な土台が切り捨てられれば、どうにかやりくりして
いる市民生活には大打撃です。軍拡は自国の貧困の拡大を招きます。


 「力には力で対抗するしかない」路線を歩めば、必然的に核兵器保有を目指す
ことになります。ロシアや中国など核兵器を持つ大国に見せつける報復力を持ち
たい、という執心にとらわれれば、核兵器保有に行き着きます。それが人類社会に
おいてどれだけ「ありえない発想」かは、論じるまでもありません。


 そもそも日本に、いざとなれば戦争できる/続けられる体力・筋力はあるので
しょうか?
 石油・天然ガスなどの資源を輸入に依存する上に、食糧自給率も低く小麦・大豆
・とうもろこし・菜種油・家畜の飼料などの大部分を輸入に頼る国が、諸外国との
関係悪化で輸入の航路を塞がれたら?戦争以前の問題です。

 他国と関係が良好でないと到底生活を維持できない脆弱な国家に、他国との
「戦争」は非現実的です。憲法尊重擁護義務を負い、完全な人権保障を目指すべき
国会議員が、憲法9条にのっとり全力で戦争を回避することは、手間はかかっても、
最も合理的でコスパ良い選択可能な唯一の道ではないでしょうか。


 出口の見えない不況と貧困の拡大が広がり、現実に人権が脅かされている人が
多数いて、しかも少子化対策や児童手当には「財源が…」云々言って渋るのに、
際限のない軍拡には無条件に税金を注ぐって、お金の使い道が違いませんか?
本当に国民の命・健康・人権を守る気があるのか、国の姿勢が問われます。

 諸外国との関係悪化は、日本での国籍/民族差別やヘイトスピーチにつながり
ます。結局「抑止力」での脅し合い(際限ない軍拡)がもたらすのは貧困や差別
など「戦争の芽」ばかり。
 経済的にも、人権保障の観点からも、平和外交の努力を積み重ねて全力で戦争を
回避することが、一番現実的で合理的です。