2017年1月4日水曜日

やや日めくり憲法 14条



日本国憲法14条
1 すべて国民は、法の下に平等であって、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、
政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。


 日本国憲法14条は、「平等」条項。国家が人種や性別などに基づく差別を
してはいけないと定めています。

 当たり前ですよね。

 ただ、人が何もしていないのに国家が勝手に差別するのかっていうと、
違いますよね。
むしろ、社会の中に、人に「上下」「優劣」をつける差別の雰囲気があることが、
根本的な問題です。

 アメリカでは、平等が合衆国憲法に盛り込まれたのは1868年でした。

 しかし、ビリー・ホリデイが黒人へのリンチを告発した歌「奇妙な果実」を
歌ったのは1930年代で、つまり当時は、黒人が、黒人だという理由だけで殺され、
木に吊されていました。

 キング牧師が人種差別の撤廃を求めて「I have a dream」と演説をしたのは
1963年でしたが、その5年後に彼は殺されました。

 こうしたひどい事態を生んだのは、法律というより、人種差別をよしとする
社会の雰囲気でしょう。

 今はもう人種の差別なんてない!

 ……かというと、まだまだそうでもないですよね。

 白人の警官による黒人市民への暴行、教会での銃乱射など、人種差別を背景に
した暴力的な事件は、21世紀に入ってからも起きています。
暴力的な事件でなくても、ハリウッド映画の主役が白人の俳優ばかりなのも不思議。

 日本だって、もちろん他人事ではありません。アイヌや沖縄の人々への
差別的な目は根深く、性差別も構造化して、性暴力やセクハラが後を絶ちません。
さらには国家にとって役に立つかどうかで人の価値が決まるかのような優生思想
を表明する杉田水脈議員のような人まで出てくるありさまで、、、人種や民族や
性別や障害など、いろいろな「違い」がある人間の個性に「優劣」があるかの
ような感覚、これが燻っているように思います。


日本国憲法14条のいう「差別を許さない」というのは、決して「みんな同じ
だから優劣をつけるな」ということではありません。
 むしろ、「みんな違う」が前提です。

 14条は、ひとつ前の条文の13条「個人の尊重」を思想の流れで出てくる
条文です

 いろいろな個性がある、みんな違った状態の個々人をそのまま尊重しようと
いう13条の考え方を受けて、違いを理由に差別してはダメ、という14条が
あるのです。

 そう、みんな違うからこそ、その違いを大切にしたい。
 みんなちがっている、だからみんなかけがえのない価値がある。
 平等というのは「みんな同じ」じゃないんですよ。(これ大事)

 「みんな同じ」は、「多数派のみんなに合わせなさい」という同調圧力の
裏返しだったりします。個性はどこいった!となってしまう。

 人種も性別も「みんな違う」のを前提に、違いを大事にしつつ、いかに
「平等」にしていくか。わりと難しい課題なんですが、でも少しずつ少しずつ、
「不断の努力」で解決していきたいですね!








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