2017年6月11日日曜日

『テロ等準備罪』!?無害なフリしちゃってポイント解説リターンズ ①



 共謀罪から名前を変えた「テロ等準備罪」の法案が、もしかしたら
数日以内にも参議院で強行採決されてしまうかもしれません。
 この週末全国各地で、テロ等準備罪(共謀罪)法案に反対する
大規模なデモやイベントが開催されていました。政府の支離滅裂な
国会答弁をみんなで読んでみよう!という「コッカイオンドク」も、
(ほんっとうに情けないことだとは思いますが)大人気ですね。


 さて改めて、このテロ等準備罪(共謀罪)がどこまでめちゃくちゃで、
私たちの人権や尊厳を踏みつぶす法案か、を解説していこうと思います。
 政府は「法案は処罰の対象となる団体を明文で『組織的犯罪集団』に
限定することで、一般の会社や市民団体といった正当な活動を行って
いる団体が適用対象とならないことを、一層、明確にしている」と述べ
ました。

 
 「テロリズム集団その他の組織的犯罪集団」…
 いかにも、それっぽい人しか関係ないように見えます。
 善良な一般市民である私にもあなたにも縁遠いもののように感じます。
 でも、ここに大きな大きな落とし穴があります。
  

 テロリズム集団その他の「組織的犯罪集団」というのは、なにも、犯罪を
行うためにあえて結成された集団だけを言っているのではありません。
 市民団体、住民団体、NPO、NGO、労働組合、漫才コンビ、夫婦、
ママさんバレーチーム、アイドルグループ…平穏な社会にいくらでも存在
する、ごくごく普通の「複数人の集まり」は、なんでも当てはまります。


 その普通の団体の、内部の会話やコミュニケーションに注目して、捜査
機関(警察)が、「このやりとりは、犯罪を計画するやりとりだ!」と認定して
しまえば、その瞬間に、その市民団体も、ダンスボーカルユニットも、兄弟も、
「組織的犯罪集団」と見なされてしまうからです。
 


 「この団地の裏の大きな森が、国道を通すために伐採されちゃうんだって!」
 「さっそく工事始まるらしいよ」
 「おかしいよね、なんの説明もないし!明日は現場に担当者来るっぽいよ」
 「それ、ちょっとひどいよ、直談判してみようよ」
 …
 団地の住民が集まる管理組合で、こんなやりとりがあれば、「組織的な威力
業務妨害罪」の共謀だ、と見なされかねません。
 この瞬間に、管理組合は、「組織的犯罪集団」と言われてしまうのです。


 企業や役所に「おかしい!」と声を届けよう、というアクションを起こそうと
すれば,とたんに「組織的な威力業務妨害罪の共謀」なんておどろおどろしい
認定をされるなんて、あまりにも理不尽だな、って思いませんか。


 業務妨害してやろうとか、そんなこと思ってないのに!
 ただ、おかしいことをおかしいって訴えたかっただけなのに!
 アポをとりたくてもとってくれないから、直談判するしかないのに!

 …一般人が、この「テロ等準備罪」によって、かんたんに「組織的犯罪
集団」として犯罪者扱いされていくことが、容易に想像できます。
 そしてもう1つ、重要なこと。
 一般人か組織的犯罪集団のメンバーか、は、会話の内容次第だ、という

ことです。
 つまり、結局、すべての人の会話の内容がとりあえず監視される、という

ことです。
「君たちがどういうことを話し合っているのか聞いてみないと、一般人なのか

どうかは分からないからね」ということです。


 新潟では、こんなかけあい風の「コッカイオンドク」が披露されました。
  ↓
野党「確認のためにもう一度聞きますけど、一般人は100%捜査の対象に
  ならないと言い切れますか?」
政府「嫌疑がなければ捜査の対象にはなりません。」
野党「一般人に嫌疑がかかることはないんですか?」 
政府「嫌疑があればその時点で一般人ではありません。」
野党「それじゃあ、だれだって対象になりうるってことじゃないですか」

* * *

 決して、「考えすぎ」ではありません。
 ましてや「被害妄想」などではまったくありません。

 政府のボロボロの答弁から、「すべての国民の心が監視対象になる」こと
が、明らかになっています。

 権力に、いつでもどこでも監視されている…そんな社会で、誰か
のびのびと自分らしく自由に生きていけるでしょうか。
 私はそんな独裁国家にはぜったいに生きたくありません。