2017年6月1日木曜日

やや日めくり憲法61条(条約の国会承認と衆議院の優越)


日本国憲法 61条 
  条約の締結に必要な国会の承認については、前条
 第二項の規定を準用する。


意味は、そのまんまです!(o^o^)o



「前条第二項」というのは
予算に関する衆議院の優越の話ですね。
詳しくは、昨日の説明を参照してください
http://www.asuno-jiyuu.com/2017/05/blog-post_66.html




簡単に言えば

条約についても
参議院がダメって言っても
衆議院がイイって言ってたら
両議院の協議会で意見がまとまらなかったら
結局衆議院の意見だけでOK!
という内容です。


 条約というのは、国家間の約束で、
その約束(批准)をして、実践するためには
国内の法制度を変えなければならないことがあります。
 たとえば、日本は女性差別撤廃条約を批准したので
国内で女性差別につながる法律を改正しなければならなかったわけです。


 だから、男女雇用機会均等法が制定されたわけですね。
(といっても、実際には、いくつも改正をサボっているので、ずっと
怒られているわけですが…)


 つまり、条約の批准は、国内にも影響を与えるのです。
 で、「その条約を締結するということは、この法律をこう改正しなければ」
というように、国内の法律にも影響のあることなので、
国権の最高機関である国会で承認が必要なわけです。
 敗戦前、大日本帝国憲法の下では、主権者は天皇だったので、
条約の承認についても天皇が「イイよ」「ダメだよ」と言う係だったのです。



 では、なんで、条約は、衆議院が優越するんでしょう?
他の法律と同じように、両議院がイイって言ったときだけOKにすれば
いいのでは、とも思われますね。


 これは、国際協調主義(前文・98条2項)や関係国への配慮が理由と
されています


 要するに、日本は、人権侵害をなくしていくという国際社会を支持して
います(前文)。だから、世界全体が推奨している条約には積極的に加わりたい!
(もちろん、憲法に違反するような条約はダメですが)

 人権保障を強化する条約に入ることは、憲法の目的(権力を制限して人権を
擁護する・立憲主義)に適ってますからね!


 また、条約は相手国のあることだからのんびりしてられない、
国際的に協調すべきときに、スムーズに条約に入りたい、ということですね。


 だから、民意をちゃんと反映している(ハズの)衆議院がOKすれば
ぜひ条約に入りましょう、というわけです。


 とはいえ、現実には、なぜこの条約に?というのもありますけどね…


 なお、共謀罪(テロ等準備罪)について、条約のことがあれこれと言われて
います。
 2003年5月には、パレルモ条約の批准に必要な国会承認は終わってます。
いま条約に参加できていないのは、単に政府がサボっているだけなんですね!
国際協調でもなければスムーズでもない…(-_-;)