2016年3月16日水曜日

あの校長の話を聞いて目眩… 24条カフェでスッキリさせませんか!


 今さらですが、大阪市立茨田北中の寺井寿男校長が、
2月29日の全校集会で、「女性にとって最も大切なことは
子供を2人以上産むこと」と話したことが、だいぶ話題に
なっています。
 詳しい発言は以下のとおりです。

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 今から日本の将来にとって、とても大事な話をします。
特に女子の人は、まず顔を上げて良く聴いてください。
女性にとって最も大切なことは、こどもを二人以上生むことです。
これは仕事でキャリアを積むこと以上に価値があります。
 なぜなら、こどもが生まれなくなると、日本の国がなくなって

しまうからです。しかも、女性しか、こどもを産むことができません。
男性には不可能なことです。
 「女性が、こどもを二人以上産み、育て上げると、無料で国立

大学の望む学部を能力に応じて入学し、卒業できる権利を与え
たら良い」と言った人がいますが、私も賛成です。子育てのあと、
大学で学び医師や弁護士、学校の先生、看護師などの専門職
に就けば良いのです。子育ては、それ程価値のあることなのです。
 もし、体の具合で、こどもに恵まれない人、結婚しない人も、

親に恵まれないこどもを里親になって育てることはできます。
 次に男子の人も特に良く聴いてください。子育ては、必ず夫婦

で助け合いながらするものです。女性だけの仕事ではありません。
 人として育ててもらった以上、何らかの形で子育てをすることが、

親に対する恩返しです。
 子育てをしたら、それで終わりではありません。その後、勉強を

いつでも再開できるよう、中学生の間にしっかり勉強しておくことです。
少子化を防ぐことは、日本の未来を左右します。
 やっぱり結論は、「今しっかり勉強しなさい」ということになります。

以上です。
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 聞こえてくる反響のほとんどは「ありえない」「女性をなんだと思って
るんだ」という強い批判のようです。
 よかった…
 でも、もしかしたら「そのとおりだ」とうなづいている人も少なくない
のかもしれません。

 「ありえない」と怒る私たちは、この、校長の話に頷いている人に
何を語ったらいいのか、考えなければいけないなぁと思います。
 頷く人には、たぶん2種類います。
1つは、「女は家庭に入って子どもを産み育てるのが使命なんだから
当たり前だ。」と、生まれてくる時代を間違えてしまったような人。
この人たちは…そうですね、とりあえず、おいておきましょう。
 もう1つのパターンとして、「いや、なんか女の人には失礼な話
かもしれないけどさ、でも少子化だし、社会を支えるには、やっぱ
出生率上げなきゃダメなんじゃない?女しか生めないんだから、
女性がグっとこらえなきゃいけないのかもしれないよ」と、100%
善意で、差別している自覚なく、社会や未来のことをまじめに考えて、
校長の話も「まじめによく聞いて」そう語る人です。
 この後者の方々には、まだ、私たちには語る言葉があります。


 およそ国家とはなんのためにあるのか。
 人とは、なんのために生まれて、なんのために生きているのか。
 すごく大きなテーマを今、書きましたが、そんなの簡単です。
「人それぞれがありのままの自分を謳歌させて幸せを見つけるため」です。
 かけがえのないたった一人の存在である「私」「あなた」は、誇りを
持って「自分らしい」人生を歩むために生きていっていいのです。
生きていくのです。
 国家は、そんな「私」「あなた」の尊厳ある人生のために、なにかと
必要だから生み出された「枠」です。何度でも言いますが、個人の
尊厳ある人生を保持するために、人々は国家という枠組みを作って
政治を託しています。
 決して、「国家のために生まれた」のでもなければ、「国家のために
生きる」のでもありません。
 これ、憲法にはすでに書かれています。
 
 日本国憲法13条前段
 全て国民は、個人として尊重される。


 このシンプルなフレーズは、上に書いた大きなテーマの(ぎゅっと
濃縮した)究極の答えです。
 寺井校長先生には、この発想がまるでないというか、発想が逆転
しています。「国家のために人がいる」「人は社会や国家を発展
させるために生きなければならない」、そんなところでしょうか。
 校長の話を聞いてショックを受けた生徒さん達には、今すぐにでも
憲法13条を伝えたいと思います。
 女性が子どもを産むかどうか、何人産むかどうかはまっっったく自由
選択の問題です。産みたくても産めない人もいるでしょう、大きな夢に
まっしぐらな人は出産はいいやと思っているでしょう。
 校長先生は「社会・国家の発展に貢献する女性こそ価値がある」という
物差しで女性を計り、「2人以上産む女性は優秀」とか順序づけている
わけです。
 そんなの、余計なお世話としか言いようがありません。

 まじめに善意で「でも少子化だと社会は衰退してしまうんでしょう?
校長の言う話も、もっともなのかなぁ」と悩む人には、伝えましょう。
人は国家のために生まれてくる存在ではないんだよ、と。
 少子化は食い止められません。
 日本の人口は減るでしょう。
 でもそれをなぜ「国家の一大事」だととらえるのでしょう?
 「国家は強大な国へと成長しつづけないといけない」という前提を
そもそも疑うべきなのではないでしょうか。
 国家は株式会社ではありません。人口が少なくなるなら、だんだん
小さくなる国としてどう国民の生活を守るのか、そういう方向性で
考えればいいだけではありませんか?
 
 21世紀なのに、2016年なのに、いまだに女性を「産む機械」だと
考える風潮が消えません。今の政府には、すべての女性が「自分らしい」
人生を歩めるように、という本っ当の意気込みも、なんだかちっとも感じ
られません。
 そんなことを、しゃべり倒すイベントが26日(土)に開催されます☆

 24条カフェ~めくるめく憲法とセイの世界~

日時: 3月26日(土)13時~15時

場所: カフェ&バー Untitled 
  台東区上野桜木1-5-6 B1
 (定員70名くらいのライブハウスです)


参加費: 1000円(学生500円)

ゲスト: 打越さく良氏(弁護士)、
     北原みのり氏(作家)、
     北田暁大氏(東京大学教授)

参加申込み不要