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2016年10月22日土曜日
終わらない、権力による差別 それでも知憲で終わらせるのだという決意で
沖縄のヘリパッド建設現場周辺で、建設に抗議している市民に対し、
大阪府警から派遣されている機動隊員が「土人」とののしりました。
映像はこちらです。ののしり方が常軌を逸していて、やくざ映画を
観ているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=zm6NbNKIayk
●松井一郎大阪府知事は下記のツイート
https://twitter.com/gogoichiro/status/788714332670402560
「ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の
警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。
出張ご苦労様。」
今日、鶴保庸介沖縄北方担当相は、沖縄の方々の感情が害されたか
どうかについて、
「私は今のこのタイミングで、「これは間違っていますよ」とか言う立場に
もありませんし。また、正しいですよということでもありません。自由に
どうぞというわけにもいきません。」
と述べました。
●「土人」発言、鶴保沖縄相「間違いと言う立場にない」(朝日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161021-00000040-asahi-pol
怒りに震えるような、怒りすらわかず深い絶望の底に落ちていくような
…さまざまな感情を抱えきれない方、少なくないのではないでしょうか。
そもそも若い人は、「…ど、どじん…?」「なんだっけそれ」とポカーンと
してしまうかもしれません。
もはや死語と化したかのような、差別用語です。
もしかしたら、「土着の人という意味でしかない」と反論なさる方がいる
かもしれませんが、本来“土着の人”という意味だった土人という言葉が、
歴史の中で誰が誰に対してどのような意味合いで使ったのかを見ない、
鈍感な意見と言わざるを得ません。
(差別用語というものは、だいたい、シンプルな単語が、誰かに“本来の
意味”を超えた差別的な意味を込められて使われ続けることで生まれる
ものです。)
その土地のネイティブの方々を、後からその地に入って(開拓に)来た
人たちが、差別的な意味を込めて呼ぶ言葉…といったところでしょうか。
かつてはアイヌの方々は明治政府から「北方土人」とされ、20年前まで
は北海道旧土人保護法なんていう悪法もありました。
そんな明々白々な差別用語を、大阪府警の若い機動隊員は、とっさに、
沖縄の方々をののしりました。最大級の皮肉を込めて「よく知ってるね
そんな言葉」と言いたいところです。
いざとなれば、権力は国民に平気で牙をむく、その瞬間に「どう見てる
か」本音が分かったわけです。
120年前に琉球王国を強制的に日本に組み込んで以来、権力が一貫
して沖縄の人たちを「自分たち」とは違う劣った民族だと蔑視しているの
です。
日本国憲法は14条で、法の下の平等を定めています。
「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的
身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別
されない。」(14条1項)
民族差別は人種差別の1つです。
当たり前すぎてため息が出ますが、民族と民族の間に優劣などある
わけがありません。そこに生きる誰もが同じ人間であり、尊厳ある存在です。
そして、すべての公務員には憲法尊重擁護義務があります。
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」(99条)
憲法によって監視されている身として、謙虚に憲法を学び、自由・人権
・平和といった近代の価値への理解を深めなければならないのに、
この「土人」発言。そしてその擁護発言。そして「間違っていると言える立場
にない」「沖縄の人が感情を害しているのか分からない」発言。
憲法尊重擁護義務に違反しています、人権や「近代の価値」への理解が
あまりにも欠けています、という一行で収められないものがあります。
差別という暴力を、「一生懸命仕事しているから」問題視しない知事。
ほんとうに差別なのか判断する立場にないと、紛れもなく「判断する立場」
にあるのに、発言拒否する担当大臣。
権力を担う人たちと、「そこが共有できないならどうしようもない」という
ところが、共有できていない、と言ったらわかるでしょうか、そんなところまで、
国家の基盤が揺らぐようなところまで来ている…そう、重い、重い、重大な
出来事だと、思います。
人権というものを知ってみよう、憲法を学んでみましょう、
そう呼びかけつづけている私たちあすわかは、
遠いと思ってたゴールが、予想の1万倍も遠いことに気づいたような、
そんな気持ちでいます。
それでも、諦めたら試合終了ですから、
がんばるのですが。