2016年10月5日水曜日

憲法カフェまつり2016 分科会の報告3 「国が決めるの!?家族の形・個人の幸せ~24条改憲の危機」その③




(文責 太田啓子弁護士)


 憲法の中で最も価値ある条文とよく言われるのが、
「個人としての尊重」(13条)です。


憲法13条前段 すべて国民は、個人として尊重される。




 打越弁護士のレジュメの最後には「個人がたいせつにされてこ
その家族」という見出しを掲げていました。
 家族のために個人が根源的な権利を我慢しなくてはならないと
いうのはおかしいのです。
ひとりひとりの個人が大事にされてこその家族、そういう考え方
こそが憲法の理念です。



●24条は同性婚を禁じてない


 憲法24条は「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立し」とある
ことから、「両性と書いてあるんだから、同性婚を禁じている(だから
憲法を変えよう?)」
 というようなことを主張する人もいます。
 しかし、憲法学者には、24条は同性婚を禁じてないと考える方も
少なくありません。
 最近はメディアでも活躍する木村草太・首都大学東京教授もその
一人です。




 というのは、「両性の合意のみ」というフレーズが書かれた経緯を
振り返ると、
明治民法では、当事者の合意のみでは結婚できず「戸主の合意」が
必要だったため、この「戸主の合意なんてなくても、当事者だけで
決めれば結婚できるようにする」ということを明確にしたかった、と
いう趣旨なのです。
「同性どうしの結婚を排除しよう」などという意図はありません。

 敗戦まで、戸主(家長)が強い権限をもって家族を統率し、他の家族
はみな戸主の命令・監督に従うという、家族間に序列がある「イエ
制度」のもとでは、特に女性にはなんの権利もなく、様々な理不尽に
耐えなければなりませんでした。
 幼少期から10年間日本に暮らし、日本の女性の境遇をよく知って
いたベアテ・シロタ・ゴードンさんが、24条の草案をつくったことは
映画などでもよく知られていますね。




 以上から、「今の憲法24条は同性婚を認めてないから、LGBTの
権利実現のためにも改正しよう」みたいなことを言う意見を聞いたら、
ちょっと違うんじゃないの?と考えてほしいということをご理解頂ける
かと思います!




 以上が24条改憲を めぐる分科会報告でした。
 是非今後とも24条に関心を持ち続けて下さいネ(^^)/








*追伸
 神奈川新聞さんが、24条改憲について鋭い連載をしています!
 ぜひチェックしてみて下さい☆
http://www.kanaloco.jp/article/203502